元アイドルの胡桃沢ひろこさん卵巣腫瘍で左右の卵巣摘出を振り返る

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そう簡単に人はくたばらないのだなと思った

 その後も点滴で血液が逆流したり、顔が腫れあがって某ソース焼きそばの容器のように四角くなるなど、さんざんな目に遭いました。とくに顔の変貌はショックで、「卵巣摘出しただけなのにどうして……」と鏡を見るたびに憂鬱になりました。元に戻るのか心配になって聞いてみると、原因はテープかぶれでした。大学病院には皮膚科があるのに土日は何もしてもらえないことを学び、改めて「50歳になっても知らないことだらけだ」と自覚した次第です。

 私が思ったことを看護師さんや先生にぶつけるものですから、手術から5日目で「精神的におつらいと思うので、ご家族と一緒にいた方が安心できるのでは?」と退院を勧められました。まだ痛くてまともに歩けず、顔もパンパンでしたが、自分も早く病院を出たかったので、翌日には退院しました。たったひとりで荷物を引きずり、電車で帰路に……。しかも途中でキャスターの車輪が外れてしまうわ、ゲリラ豪雨に遭うわの踏んだり蹴ったり。でも、「この豪雨が全部洗い流してくれるわ」と気持ちは前向きでした。

 というのも、退院前の先生からのお話で「お酒も少しなら飲んでいい」と言われたからです。私は毎日飲むほどの日本酒好き。その日もひとりで退院祝いをしました。たった一口でしたが久々だったので染みましたね。

 その後は順調に回復して経過は良好です。

 いろいろありましたが、そう簡単に人はくたばらないのだなと思いました。ダメだと思っても、「なんかいける気がする」とウソでもいいから言った方がいいというのが私の持論でもあるんですけど、マイナスをマイナスと捉えると、本当にマイナスになることを実感しました。

 日本語講師として留学生に言っていることにもつながります。ミスできるってことは行動している証しです。私は病気をしたおかげで、「いろいろあっても何とかなる」という底力のようなものを得た気がしています。かつての芸能界の仲間と再びつながり始めたこともそのひとつです。

 8月にはトークショーが予定されています。どうなるかは予測不能。客席がガラガラかも……。でもそれもネタになる、って思ってます(笑)。

(聞き手=松永詠美子)

▽胡桃沢ひろこ(くるみざわ・ひろこ)1974年、新潟県出身。中学3年生で国民的美少女コンテストのファイナリストになる。91年に「スパーク・プラグ」でアイドルデビューし、セカンドシングル「恋する夏の日」で日本歌謡大賞新人賞を受賞。アイドルグループ「桜っ子クラブ」や「L☆IS」などで活躍し、2005年に芸能界を事実上引退。現在は日本語講師として勤務している。病気を経て少しずつ芸能活動を再開。8月22日(土)には「東京・アプレ神楽坂スタジオ」(午後2時~)でトークショーが予定されている。

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