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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

食道がんでは世界初…ウイルス製剤は標準治療がダメでも大きな効果

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 国内で行われた治験では、17施設で登録された37人にテロメライシンと放射線の併用で評価されました。これまでの研究から、この薬剤を投与すると、放射線が効きやすくなり、放射線との併用で治療効果が高まることが分かっていたのです。登録者の病期分類はステージ2~3で、約76%が80歳以上でした。この薬は内視鏡で直接1ミリリットル投与。投与は大体2週間間隔で3回行い、腫瘍の大きさや数によって2ミリリットルまで増量します。放射線と薬剤投与を同じ日に行うときは、放射線照射が先に行われました。

 その結果、投与から18カ月後の局所完全奏功率は50%。局所完全奏功とは、画像ですべてがんが消失した状態です。対象となったステージ2、3はリンパ節転移がありますが、事前の研究で腫瘍に投与された薬剤がリンパ節に移行することが分かっていました。放射線との相乗効果で高齢者の進行食道がんでも高い効果が得られています。高齢者や持病がある人は、標準治療が難しいケースもあり、期待が持てる結果です。

 一方、脳腫瘍に対するウイルス製剤も実用化されています。ヘルペスウイルスを遺伝子改変したデリタクトです。これもがん細胞のみで増殖し、正常細胞では増殖しません。がん細胞への効果を示す過程で患者本来の免疫細胞が刺激され、抗腫瘍効果を高めることも期待されています。

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