猪羽恵一
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猪羽恵一本郷美術骨董館 副代表

本郷美術骨董館・副代表。国内外の美術品・骨董品を取り扱う業界の最大手。全国各地で鑑定会を行っている。専門分野は絵画。

掛け軸はほとんど偽物と思え 特に古ければ古いほど多い

公開日: 更新日:

「掛け軸ってほとんど偽物?」って聞かれることがある。確かに偽物は多い。特に古ければ古いほど多い。明治以前の掛け軸を我々は「古画」と呼んでいるが、有名な絵師ほど偽物ばかりだ。

 谷文晁(1763~1840)に至っては、「オバケと文晁は見たことがない」とさえ言われている。円山応挙、渡辺崋山、田能村竹田もほとんどが偽物だ。

 偽物が多くある要因のひとつに、明治に入って身分制度がなくなり、お殿様や豪商しか持てなかった掛け軸の需要が一気に高まり、さまざまな偽物の掛け軸が生産されたことがあげられる。男たちのプライドを象徴する物が、高級車や時計などない時代には床の間に飾る掛け軸に託されていた。

 例えば西郷隆盛の書は本物が100本に1本といわれるが、それを眺めながら明治維新に思いを馳せていた人もいただろう。それは不幸なのか幸せなのかわからない。その人にとって本質的には本物であれ偽物であれ関係がないこともある。信じている以上、偽物として手放す可能性は極めて低く、本人は一生本物として楽しめる。亡くなった後に遺族によって判明するということだ。

 もちろん本物の掛け軸も存在する。箱書きや伝来、来歴が大事になる。それは次回に。

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