織田信成は1100万円請求 被害者が裁判で勝つ証拠の残し方
精神的な苦痛で病院を受診したら、もちろん診断書をもらう。それにプラスしてちょっとしたテクニックも必要だ。
「ただ診断書を受け取るだけでなく、ハラスメントと実害との関連性を証明できるようにしておくのです。たとえば、『上司にクビと言われた』→『翌日から出社が苦痛になった』→『2日後に受診したらうつ病と診断された』といった時系列で因果関係を把握できるような説明です」
そのためには、ハラスメントによる苦痛を感じてからの記録が欠かせないという。
「①だれが②いつ③どこで④どんな状況で⑤何をされた、ということを網羅するように記録します。手書きでも、エクセルなどでもいい。特に大事なのは、上下関係と状況の説明です。上下関係は、上司と部下、先輩と後輩のほか、同僚でも経験値の差があれば、パワハラ認定される可能性があります。もうひとつの状況は⑤と付随して、周りの受け止め方です。裁判では、その様子を見聞きした人がどう受け止めるかという客観性で評価されますから。たとえば、〈隣の同僚が『次は自分が標的になるのではないか』と怖がりつつ小声で語っていた〉ということも記録しておくことが重要です」
会社にハラスメントの状況を訴えて、かえって不当な扱いを受けたなら、それも記録する。これらはすべて被害者側が集めることになる。被害者が裁判で勝つためのハードルは、きわめて高いのが現状だ。