井上理津子
著者のコラム一覧
井上理津子ノンフィクションライター

1955年、奈良県生まれ。「さいごの色街 飛田」「葬送の仕事師たち」「いまどきの納骨堂」など著書多数。

<13>「自然に返る」イメージで注目…“樹木葬“と“海洋散骨”の気になる相場と中身

公開日: 更新日:

「自然に返る」イメージから樹木葬と海洋散骨が注目され、ともに膨大な数の業者が蠢いている。

「ビジネスに走り過ぎる業者も少なくないので、玉石混交です。選ぶなら慎重に」と、葬送ジャーナリストの塚本優さんはクギを刺す。そうした懸念のない事例を紹介したい。

 東京都八王子市の緑深い丘陵地に広がるのが、2011年から樹木葬墓地を営む「東京里山墓苑」。大きな桜の木々がシンボルツリーだ。その根元に、木製の骨壺に入れた遺骨を埋葬する。

「恐らく5年から10年で土に返ります」と、運営主体のNPO法人「ロータスプロジェクト」理事長で、延寿院住職の及川一晋さんは言う。

 最近の樹木葬には霊園の一角を芝生状にした「公園タイプ」や花木を植えた「庭園タイプ」が多いが、こちらは「里山タイプ」だ。「骨を山に埋葬する方法が理にかなっている」として岩手県一関市の祥雲寺が1999年から始めた本来の樹木葬と同様に、里山保全も理念とする。

 趣旨に賛同して生前にNPO会員になり、区画を得るなら1人50万円、2人65万円。合祀形式なら20万円(いずれも別途粉骨費など)。希望すれば納骨や周忌法要も依頼できる。

「コロナ禍で『突然何が起こるか分からない』との思いから、自分の意思で埋葬先を決めておこうと考える人が増えたようです」(及川さん)

 埋葬者数は約160人。昨年の納骨件数も、前年とほぼ同数だったという。

船内でお葬式を行う気持ちで乗船

 一方、東京都江東区の「ハウスボートクラブ」は創業した07年から「ブルーオーシャンセレモニー」のブランドで海洋散骨に取り組む。私が試乗した「合同乗船散骨プラン」(1組2人で平日16万5000円~)の様子を記すと――。

 中央区晴海の乗船場から40人乗りクルーザーで羽田沖の散骨スポットへ。5組13人の遺族が花びらと共に「粉骨」を海面にまく。すると、瞬く間にきらきらと輝く波面に消えていった。「故人の冥福を祈って、黙とうを捧げたいと思います」とアナウンスが流れて鐘が鳴る中、合掌。ボートは大きな円を描いて散骨ポイントを3周し、乗船場に戻った。

「昨年のご利用は『チャーター散骨プラン』(平日29万7000円~)、『代行委託散骨プラン』(1柱5万5000円)を含め640件。前年より約60件増えました。ご遺族は埋葬というより、船内でお葬式を行う気持ちで乗船されています」と村田ますみ社長は話す。(つづく)

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