竹島から約90km…僻地「鬱陵島」に5人暮らす日本人女性信者の暮らしぶり
大手製鉄会社「ポスコ」の本社がある韓国南東部・浦項から、フェリーで約3時間。日本海に浮かぶ人口約1万人の鬱陵島を訪れたのは、2008年9月のことだ。
島から東南に約90キロ離れた場所には、韓国が実効支配し、日本が領有権を主張する竹島(韓国名・独島)がある。日韓対立の象徴となってきた竹島に程近い鬱陵島の人たちは、日韓関係についてどう考えているのか。島の住民や訪れる人に話を聞くのが目的だった。
鬱陵島は、韓国語で「ウルルンド」と発音する。どこか明るい響きだが、平地が少なく海岸は絶壁が続き、厳しい自然環境にさらされている島で、漢字のイメージがよく似合う。嵐に見舞われる日が多く、海がしければ本土と結ぶ唯一のルートである船は欠航し、島から出ることはできなくなる。
この時も悪天候で帰りの船が欠航となり、昼食をとるために近くの食堂に入った。食事を終えてお茶を飲んでいた時のことだ。「日本の方ですか」と日本語で話しかけられ、顔を向けると40歳くらいの店員の女性が立っていた。
サンダル履きにエプロンという質素ないでたちで、頬は赤みがかっている。現地の韓国人だと思い込み、韓国語で「はい、日本人です」と答えると、やはり日本語で「私も日本人です」と返してきた。10年ほど前から韓国人の夫と鬱陵島で暮らし、家計のために食堂で働いているという。