要介護一歩手前「フレイル」改善を実証したシニア向けマンションの取り組み
各地の公園などでは花見が行われ、行楽を楽しむ人の姿が目立つ。ゴールデンウイークの観光地は、さらに人出が増えるだろう。アフターコロナを歩み始めたいが、「やりたいことが分からない」という人もいて、そこにフレイルが関係しているという。
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「年齢を重ねると、体の力が弱くなったり、意欲の低下でどんなことにもやる気が薄れたりして、病気ではなくても手助けや介護が必要になることがあります。フレイルとは、要介護状態の前にある、少し心配な虚弱状態のことです」
こう言うのは、東京都健康長寿医療センター研究所の大渕修一研究部長(写真・円内)だ。要支援を含む要介護の認定者数は昨年12月末現在で約697万人。65歳以上の5人に1人で右肩上がりだけに、フレイルをいかに食い止めるかが重要だ。
そんな中、ソフトバンクは今年2月、60~79歳の男女1000人を対象に「高齢者世代の健康に関する調査」を実施。フレイルのリスクを調べている。
■ハイリスク組は16パーセントが「日常的な楽しみがない」
その結果、フレイルのリスクが「高い」と「中程度」を合わせると全体の6割。性別と年代で分けると、特に60代男性のフレイルリスクが高い傾向にあった。
注目は「日常的な楽しみがない」と回答した割合で、フレイルリスクが高い人は16.4%。実にフレイルリスクが低い人の6倍近い。
フレイルリスクが低い人は何を楽しみにしているかというと、「友人との会話」などのコミュニケーション機会や、「スポーツ」「食品日用品以外の買い物」といった外出機会を「日常的な楽しみ」としてとらえる傾向が浮き彫りになった。
逆にフレイルリスクが高い人は、半数近い48.9%が家族以外の知人と1カ月以上も会わない生活を送っていることが判明。生活の暗さを印象づけたのがアフターコロナの楽しみで、フレイルリスクが高い人は、37.2%が「特にない・わからない」と回答しているのだ。
6割もの人がフレイル予備群なのも驚きだが、3人に1人がアフターコロナの楽しみがないというのも深刻だろう。これでは要介護状態の急増に歯止めがかからないが、前述の大渕氏は「その人の行動を変えることができれば、フレイルは確実に改善します」と断言する。