著者のコラム一覧
内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(15)乗客との会話で“悲劇の人”を演じた自分にハッとした…今も胸に刻む初老の紳士の言葉

公開日: 更新日:

 逆のケースもある。行き先を告げた後、終始無言だったある女性客から目的地近くになってこう言われた。

「運転手さんが静かな人でよかった。ちょっと考え事をしていたから、話しかけられたらイヤだなって……。ありがとうございました」

 当時、私は還暦を過ぎていたが、無言を感謝されたのは、生まれてはじめての経験だった。おまけに「少しですけど、お釣りはけっこうです」と言って降りて行った。「沈黙は金」のエピソードである。

■「その倒産、運転手さんにも責任がありますね」

 心に染みる言葉をもらったこともあった。まだタクシードライバーを始めて間もないころのことだ。70代後半とおぼしき紳士。都内から横浜までのお客だったが、話し好きなのだろう。私がタクシードライバーになったいきさつを尋ねてきた。言葉遣いといい、物腰といい、好感の持てるご仁だった。私は、社長だった父親の株式投資失敗による家業倒産の経緯などを話し、50歳にしてタクシードライバーになったことを話した。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「24時間テレビ」SixTONES起用もマラソン募金額46%減で“旧ジャニーズ一極集中”は終焉へ

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    NHK出演にSNSでは抗議の声も…彬子女王と伊藤穰一氏をつなぐ「裏千家」とブータン王室の深い関係

  4. 4

    (2)「おニャン子クラブ」の二の舞いを回避した「順位付け」という競争原理はグループを飛躍的に活性化させた

  5. 5

    「タンス預金2000万円」相続税はどうやってバレる? 税務署が追う“亡き親の出金”

  1. 6

    一発で免許停止も…9月から法定速度改正「時速30キロ」生活道路の見分け方

  2. 7

    水前寺清子(1)作詞家・星野哲郎への恩と愛称「チータ」誕生の理由

  3. 8

    自民党内に内閣改造の“タマ”がいない…女性閣僚「目玉不在」に高市首相が“苦悶”

  4. 9

    24時間マラソン完走後にSNSで“陰謀論”が拡散 星野真里に上がった「車移動説」のお粗末

  5. 10

    止まらない「人手不足倒産」…8月は過去最多を記録、もはや“ブラック企業”は成り立たない