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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(15)乗客との会話で“悲劇の人”を演じた自分にハッとした…今も胸に刻む初老の紳士の言葉

公開日: 更新日:

 逆のケースもある。行き先を告げた後、終始無言だったある女性客から目的地近くになってこう言われた。

「運転手さんが静かな人でよかった。ちょっと考え事をしていたから、話しかけられたらイヤだなって……。ありがとうございました」

 当時、私は還暦を過ぎていたが、無言を感謝されたのは、生まれてはじめての経験だった。おまけに「少しですけど、お釣りはけっこうです」と言って降りて行った。「沈黙は金」のエピソードである。

■「その倒産、運転手さんにも責任がありますね」

 心に染みる言葉をもらったこともあった。まだタクシードライバーを始めて間もないころのことだ。70代後半とおぼしき紳士。都内から横浜までのお客だったが、話し好きなのだろう。私がタクシードライバーになったいきさつを尋ねてきた。言葉遣いといい、物腰といい、好感の持てるご仁だった。私は、社長だった父親の株式投資失敗による家業倒産の経緯などを話し、50歳にしてタクシードライバーになったことを話した。

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