3.11東日本大震災から13年…被災地を蝕む「遅発性PTSD」と医療現場の今

公開日: 更新日:

 元日の能登半島地震により4600人超がいまだ避難生活を強いられる中、先月は豊後水道地震が発生した。日本列島は絶え間なく揺れ続け、首都直下や南海トラフ地震への不安は募る一方だ。巨大地震への危機感を高めたのが東日本大震災だった。津波と未曽有の原発事故に襲われ、日常を奪われた被災者は遅発性PTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しみ、医療従事者は支援に奔走している。3.11から13年、いま何が起きているのか。現場を追うドキュメンタリー映画「生きて、生きて、生きろ。」(東京・ポレポレ東中野で25日公開)を撮った島田陽磨監督に聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 ──津波で行方不明になった夫を思い続ける妻、避難中に息子を失って自殺未遂を繰り返す父親。アルコールと薬物に溺れたケースは直視がしんどいものがありました。取材のきっかけは?

 原発事故が発生した2011年、米国から原発が持ち込まれた経緯を探るドキュメンタリーDVD「未来への決断~ノーモア原発~」を社で制作し、ディレクターとして関わりました。発災10年の節目に浮かんだのが、「福島はどうなっているのか」。親族が南相馬市に住んでいて、相馬野馬追をよく見に行きました。原発から半径20~30キロ圏内であることを除けば平凡な田舎町だったのに、チェルノブイリに匹敵するほど世界に知られ、複雑な思いがある。それで取材を申し込んだのが「メンタルクリニックなごみ」(相馬市)の蟻塚亮二院長と、連携して活動するNPO法人「相馬広域こころのケアセンターなごみ」でした。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  3. 3

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  4. 4

    巨人阿部監督はたった1年で崖っぷち…阪神と藤川監督にクビを飛ばされる3人の監督

  5. 5

    (4)指揮官が密かに温める虎戦士「クビ切りリスト」…井上広大ら中堅どころ3人、ベテラン2人が対象か

  1. 6

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  2. 7

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  3. 8

    志村けんさん急逝から5年で豪邸やロールス・ロイスを次々処分も…フジテレビ問題でも際立つ偉大さ

  4. 9

    佐々木朗希いったい何様? ロッテ球団スタッフ3人引き抜きメジャー帯同の波紋

  5. 10

    (2)事実上の「全権監督」として年上コーチを捻じ伏せた…セVでも今オフコーチ陣の首筋は寒い