著者のコラム一覧
内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(31)「もし運転手さんに娘さんがいたら」…超美人ホステスさんからの「人生相談」

公開日: 更新日:

 乗員証にはしっかりとドライバーの名前が入っているから、逃げ隠れできない。結果として、お客の誘いに乗ってしまったドライバーは「美人局」の餌食になってしまったのだ。同じ社のドライバーではないから、どう決着がついたかは知らない。もちろん、真面目な恋愛関係、あるいはめでたく結婚というケースもあるには違いないが……。

 幸か不幸か「恋のお相手」の経験こそないが、妖艶な女性の「相談相手」になることはしばしばある。ある日の深夜、上野から埼玉県の浦和までの女性客を乗せた。1万円以上の上客のうえ、超がつくほどの美人だ。乗車して間もなく「私、ホステスの仕事、親には内緒にしているの、もし運転手さんに娘さんがいたとしたらどう思います?」と尋ねられた。

「お客さまがしっかりしていれば大丈夫ですよ。でも正直に言えば、夜の仕事じゃないほうが安心かもしれませんね。親はいくつになっても子どもが心配なんですよ」

 私は差しさわりのない答えのつもりで応じた。

 だが、女性は反論してくる。「でも、子どもって、私はもう20歳過ぎですよ」。お客を怒らせるわけにはいかない。私は軌道修正を試みた。「たしかに子ども扱いされ鬱陶しいですよね」と言葉をつないだ。「そう、その通り運転手さんみたいに話が分かってくれたらいいのに」と態度を和らげる。私は「親の意見と茄子の花は千に一つも無駄はない」ということわざを紹介しながらこう話した。「親の言うことは正しいときもあれば、間違っていることもありますよね。それもこれも、親の愛情の表れです。無駄はないと思えればいいのでは……」。すると、彼女は納得したようにこう言った。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは

  4. 4

    柳田悠岐の戦線復帰に球団内外で「微妙な温度差」…ソフトBは決して歓迎ムードだけじゃない

  5. 5

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    ローラの「田植え」素足だけでないもう1つのトバッチリ…“パソナ案件”ジローラモと同列扱いに

  3. 8

    ヤクルト高津監督「途中休養Xデー」が話題だが…球団関係者から聞こえる「意外な展望」

  4. 9

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 10

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?