神田司町にある1905年創業の居酒屋「みますや」で蘇ったドジョウ汁の思い出

公開日: 更新日:

子供のころは嫌だったけれど

 昭和40年代初期、アタシが子供の頃は魚屋で普通にドジョウが売られていた。店の入り口脇の大きな樽に生きたドジョウが入れられていて、驚くほど安く買うことができたのだ。明治生まれの祖母は疲れると「精をつける」と言ってドジョウ汁を作って食べていた。それをアタシに食わせようとするのだが、子供のアタシはこれが嫌でね。それが、半世紀以上もたつと「サイコ~」とか言いながら丸煮をほおばるようになるのだから変われば変わるもの。が、左右4組のカップルの前にドジョウは見当たらない。食べているのは正面の先輩とアタシだけ。左隣の20代らしきカップルは横目で恐ろしげに眺めている。

「ここに来たら、これを食わなきゃ」。おせっかいオヤジのアタシが周りにも聞こえるように話し掛ける。「おいしいんですか?」と女子。「うまいなんてもんじゃないよ。食べてみたら?」「いえ、大丈夫です」。なにが大丈夫なのか。最近の若者言葉は理解不能だ。アタシはさっさとビールを飲み干すと、ドジョウをつまみに銘酒白鷹の熱燗(500円)。2合徳利を傾ける先輩と目が合い思わず会釈。先輩も杯を上げて応えてくれる。「いい酒場だなあ」。思わず声に出てしまった。

(藤井優)

○みますや 千代田区神田司町2-15-2

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    教授の"高額接待"スキャンダルなど不祥事続きで…国際卓越研究大学制度から東大脱落の可能性と評価

  2. 2

    ナフサ由来の資材不足で酷暑の真夏にエアコンが使えなくなる「電気代補助」で利用促進も本末転倒

  3. 3

    “謎の風邪”感染者が急増…インフル&コロナ陰性でもツライ「症状」の正体と「流行」全国拡大の理由

  4. 4

    富士山南麓でクマ出没相次ぐ異常事態…地元自治体、サファリ、アウトドア施設が緊急対応

  5. 5

    医学部に進学した息子のために老後破産したエリートサラリーマンの懺悔

  1. 6

    伊藤博文らの「皇室典範」をめぐる議論では、女性天皇や女系天皇を認めることが検討されていた

  2. 7

    日本に冷夏もたらすはずが今年も猛暑予想…「スーパーエルニーニョ」の脅威を専門家に聞いた

  3. 8

    ウィッキーさんの息子は慶応大医学部卒、ハーバード大学大学院修了の超エリート! ウィッキーさんの妻が初めて明かした教育法とは?

  4. 9

    富山・立山で出没のクマは餌不足ではなかった! 観光名所「称名滝」の遊歩道で観光客被害

  5. 10

    「下戸は居酒屋に来るな」は本当か? 店側が明かす“歓迎される客・されない客”の違い

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・橋上秀樹監督代行とは何者か…原辰徳氏には干され、阿部監督が心酔した“野村ID野球”の継承者

  2. 2

    (3)巨人の次期監督は誰か…松井秀喜氏、桑田真澄氏より“現実味”帯びる原辰徳氏の4度目登板

  3. 3

    (1)阿部監督の暴行事件は巨人にとって“渡りに船”だったか…異様に早い「解任判断」の裏側

  4. 4

    ゾンビたばこ羽月隆太郎「共犯者暴露」の大きすぎる波紋…広島・新井監督の進退問題にまで飛び火か

  5. 5

    (2)阿部監督「長女の手紙」で潮目一変…巨人が“事件矮小化”を手引きしたのか

  1. 6

    高市首相「中傷動画」疑惑に逆ギレ答弁連発 質問した野党議員の制止振り切り“ご飯論法”で一気まくしたて

  2. 7

    絶好調!巨人・阿部慎之助を支える最強あげまんグラドル小泉麻耶

  3. 8

    ゾンビたばこ羽月隆太郎が涙の激白 広島内で「関与は6人」「壮絶イジメ」「裏切り」【会見全文】

  4. 9

    維新はシャカリキでも産業界は「ノーモア都構想」…企業がごっそり“脱・大阪”前年度比1.8倍増

  5. 10

    広島羽月 お立ち台で見せた初々しい“坊主頭”の意外な理由