ブーム広がる「かき氷」介護現場でも注目…“最後の晩餐”になる日も?
機種選びの基準は切れ味よりも収納性
その一方、今年は昭和で数えると100年の節目とあって、昭和世代に親しまれたかき氷器が復刻された。タイガー魔法瓶が6月に販売を再開した「きょろちゃん」がそれで、昭和53年に発売されたクマの姿の3代目の復刻版だ。
「ハンドルまわせばお目目がくるくる」のキャッチコピーが有名で、団塊ジュニア世代がパパやママになり、自分の子供と一緒に家庭でリーズナブルに楽しんでいる。何と再販売前に3000個を超える予約を集めたそうだ。イエロー、ブルー、オレンジの3色で、価格は8980円。酷暑とあって、売り上げは好調だという。
そう、自宅で楽しむかき氷もブームなのだ。かき氷をおいしく作るにはどうすればいいか。家電評論家の多賀一晃氏に詳しく聞いた。
おいしいかき氷に不可欠なのが、何といっても氷だ。業務用製氷機は、水をゆっくりと凍らせることで、不純物を除き、澄んだ透明な氷になる。しかし、一般に家庭の冷凍庫はマイナス18度で急速冷凍するため、不純物が残りやすい。この問題をどう解決するか。
「もし可能なら、水道水ではなく名水や井戸水を使うのが理想ですが、それが無理でも工夫次第で透明な氷を作ることができます。水に砂糖をひとさじ混ぜるのです。凝固点が下がって、ゆっくり凍るため、透明度が高まります」
前述の通り家庭用のかき氷器も復刻されたが、「手回しは疲れる」という声もなくはない。おいしいかき氷を作るにはどんなかき氷器を選択すればいいか。
「あまり馴染みがないかもしれませんが、かき氷器メーカーでいうと、ドウシシャ、パール金属、中部コーポレーション(業務用)などは、しっかりとしたツール(道具)の視点で作られているので、切れ味がよく、ふわふわの氷も削れます。実はツインバードを推薦したかったのですが、昨年で生産が打ち切りになりました。毎年ニューモデルを出せる市場ではありませんから」
ネットなどでツインバードを見つけたら、買ってみるのもいいだろう。多賀氏が愛用するのは、ドウシシャの「電動ふわふわ とろ雪かき氷器」だという。
「2016年に発売されてから、毎年のように細部まで改良されているため非常に使いやすい」
この多賀氏のオススメは2万個売れればヒットといわれるかき氷器市場で、初年度に10万個を超える大ヒットを飛ばし、22年には累計販売台数が100万個を突破。強い追い風に乗り、10年目の今年フルリニューアルされている。ブラックとブルーで、希望小売価格は6578円。
かき氷器を選ぶ際、重視すべきは意外にも削り方ではなく、収納性だという。
「調理家電は兼用が難しい。たとえばホットプレートは何にでも使えそうですが、たこ焼きをするには平らなプレートとは別にたこ焼き用のプレートが必要で、機能はシンプルでも重くて収納しづらいのもネック。かき氷器も同様です。しかも、かき氷器は季節家電で集中的に使うのは夏。使わないシーズンの方が多いですから、コンパクトに収納できるタイプがオススメで、かき氷器を買うなら、収納時に受け皿を置くスペースを潰せる小型タイプが望ましいです」
ロックアイスを削ることができるミキサーでもかき氷はできる。20秒ほどで削れるが、「ふわふわな食感ではなく、シャリシャリした粗い食感」になる点は頭に入れておこう。