戦後80年目「終戦の日」の靖国神社をルポ 行き交うのは憲兵、右翼、親子、外国人…
聞こえてきた「参政党頑張れー!」
午前11時過ぎ、拝殿前がザワついた。国会・地方議員88人で集団参拝した参政党議員団が殿内から出てきたからだ。拝殿脇にゾロゾロと整列し神谷代表を中心に記念撮影。男性議員が軒並み黒ネクタイを締める中、なぜか神谷は慶祝用の白いネクタイを着用し、ほほ笑みながら写真に収まった。
撮影を終えると、議員団を見ようと集まった支持者らが「神谷さん頑張れー!」「参政党頑張れー!」などと拍手喝采。ある中年男性は「神谷さんを一目見れて良かった」「俳優みたい」と興奮気味だった。スーツをビシッときめた右翼団体のご老人が「参政党は腰が据わっていない」とボヤくのが、記者の耳に聞こえた。
参拝者を眺めていると零戦のイラストが描かれたTシャツを着た外国人の青年が目に留まった。日の丸を広げ中門鳥居の前で写真を撮っている。聞けば、フランスの大学生だという。日本大好きトーマスさん(19)だ。
「『ガキ使』や『相席食堂』など日本のバラエティー番組がキッカケで、日本に興味を持つようになりました。大学では経済学を専攻していて、日本語や日本の文化・歴史を独学中です。靖国神社には、ぜひ来てみたいと思っていました。卒業後は日本で働きたい。難しいけれど頑張ります」
爽やかな笑顔を見せながら独学とは思えない流暢な日本語で将来の夢を語るトーマスさんに、記者は「日本人ファースト」なんて聞かせたくないと思うのだった。
(取材・文=高月太樹/日刊ゲンダイ)