恵比寿「たつや 駅前店」では80歳くらいの女子が生ビールのジョッキを両手で抱えて飲んでいる
「焼き鳥」は鶏肉、「やきとり」は豚モツの焼きトン
95歳になる先代は今でこそ店に出ることは減ったものの、元気でいるとのこと。現在の店主である新見さんが話してくれた。アタシは焼き場を守る新見さんの前に陣取ってまずは黒ホッピー(500円)。昔ながらの中ジョッキに、氷なしで目いっぱい入っている。つまみはカシラ、ガツを塩で2本ずつ(注文は2本単位で1本200円)。胡椒のきいたガツで黒ホッピーをグイ。サイコ~! アタシがお邪魔したのは午後3時ごろ。カウンターは老若男女で7割ほど埋まっている。80歳くらいのベテラン女子2人が生ビールのジョッキを両手で抱えて飲んでいた。尊敬します。さすがにつまみは軟らかいレバーだ。
最近は若い女子がひとりでもつ焼きを食べに来ることが珍しくないという。「昔だったら考えられないですよ」と新見さん。
入り口に「たつやのやきとり」と書いてあるため、鶏串だと思って入ってくる客がまだいるようだ。実はアタシも知らなかったけれど、ひらがなの「やきとり」は豚モツの焼きトン、漢字の「焼き鳥」は鶏肉とか。だからたつやは「やきとり」。なるほど。アタシは断然「やきとり」派です。次はテッポー(2本単位で1本200円)をタレでもらおう。ホッピーもお代わり。今度は白で。天井を見上げるとたくさんの巨大な魚拓が張ってある。そういえば先代は釣りがお好きでしたよね?
「趣味は釣りと麻雀とゴルフ(笑)。お客さんとよく行ってましたよ」と新見さんが苦笑する。羨ましい人生だ。よし! もつ焼きでスタミナつけてアタシも先代を見習うことにしよう。 (藤井優)
○たつや駅前店 渋谷区恵比寿南1-8-1 STM恵比寿ビル1F