今なお続くトカラ列島近海の群発地震…元国立極地研究所所長・島村英紀氏が気象庁の発表に“反論”
6月21日から、現在まで2000回を超える地震が記録された悪石島を含むトカラ列島近海の群発地震。さすがに報じられる機会が減ったが、今でも群発地震は続いている。元国立極地研究所所長の島村英紀氏は、そもそも気象庁の発表にも疑問を抱いているという。トカラ列島近海の地震について振り返る。
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このような地震が起きたのは初めてではなく、2004年にも鹿児島市に全島避難が行われた。その時以来、悪石島に1台の地震計が設置されている。
そもそもこの場所で火山性地震が起こることは珍しいのだが、現在起きている地震は、火山性地震か構造性地震か分からないのが現状だ。
今の震源決定では、陸上に置いた唯一の地震計のデータから震源を決めることになっており、自動的に震源の深さが30kmに決まってしまう。しかし、それは間違いである。そもそも震源の深さが30㎞付近の地震を火山性地震と決めること自体が難しいし、震源が深い構造性地震を火山性地震と区別して決めることは、ほとんど不可能だからである。