今なお続くトカラ列島近海の群発地震…元国立極地研究所所長・島村英紀氏が気象庁の発表に“反論”
過去に悪石島の地震に非常に近いものが、バヌアツで起きた時や伊豆半島の新島周辺で起きた時は「火山性地震」とされた。2000年に三宅島で起きた地震も噴火で終わったから、ともに火山性地震だと思られている。だが、本格的な海底地震計の設置がなされて、深さを決めるということをしないと構造性地震か、火山性地震かはわからない。そもそも陸上に地震計ひとつおいただけで、震源の深さが10㎞か30㎞か決めることは不可能なのだ。
1952年の明神礁の海底火山噴火があった際は、構造性地震か火山性地震かがわからないまま海上保安庁の船が派遣され、乗っていた31人の乗組員全員が亡くなった悲しい出来事があった。94年に伊東沖の観測をした海底精密測深儀のようなものがあれば、火山性地震か構造性地震かを区別することができるはずで、乗組員全員がなくなるような悲劇は生まなかったはずである。
今後地震予測を行うためには、正確な地震の観測が必要だ。海底地震計か、海底精密測深儀による観測を行わず、構造性地震と火山性地震を区別できないままにしておくことは許されない。
◇ ◇ ◇
富士山噴火は迫っている?●関連記事【こちらも読む】『富士山が噴火したら…首都圏はどうなる? 元国立極地研究所所長・島村英紀氏が解く』…では噴火直後に起こるシミュレーションを紹介している。