原宿「南国酒家」カニの卵入りふかひれスープと五目あんかけ焼きそばで蘇る家族の思い出

公開日: 更新日:

 渋谷の大規模開発によって桜丘界隈は見る影もないほど変わってしまった。

 昔、さくら坂の横を一本入ったところに中華料理の名店・南国酒家があった。昭和36年創業というからアタシと同い年。そのことを親父が知っていたとは思えないが、アタシの誕生日などのイベントで外食というと、ここ南国酒家に行くことが多かった。

 この1号店は残念ながら平成23年に閉店。この店での思い出を書いていたら、原稿用紙が何枚あっても足りないが、ひとつだけ。中国風の半円形のエントランスを入って階下に下りると、赤いじゅうたんが敷き詰めてあり、ジュークボックスと奥には香港の夜景を映した大きな壁があった。夢のようなダイニングを目の当たりにし、土足じゃまずいと思った妹はいきなり靴を脱ごうとしてみんなの笑いを誘った。

 そんな思い出とともに、何といってもこの店のカニの卵入りふかひれスープはアタシに人生で初めて食べ物に感動するという経験をさせてくれた。そしていくら満腹でも食べてしまう、締めに出てくる五目あんかけ焼きそばのうまさといったら尋常ではなかった。

 さて、今回はそんな体験をさせてくれた南国酒家の原宿本店である。敷居が高いであろうことを覚悟してアポを取ると、まことに快くお受けしてくださった。そして一言、「お腹をすかしておいでください」。がっついているアタシにとって、この言葉ほどうれしいものはない。

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  3. 3

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  4. 4

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  5. 5

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  1. 6

    12月でも被害・出没続々…クマが冬眠できない事情と、する必要がなくなった理由

  2. 7

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 8

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  4. 9

    黄川田地方創生相が高市政権の“弱点”に急浮上…予算委でグダグダ答弁連発、突如ニヤつく超KYぶり

  5. 10

    2025年のヒロイン今田美桜&河合優実の「あんぱん」人気コンビに暗雲…来年の活躍危惧の見通しも