原宿「南国酒家」カニの卵入りふかひれスープと五目あんかけ焼きそばで蘇る家族の思い出
渋谷の大規模開発によって桜丘界隈は見る影もないほど変わってしまった。
昔、さくら坂の横を一本入ったところに中華料理の名店・南国酒家があった。昭和36年創業というからアタシと同い年。そのことを親父が知っていたとは思えないが、アタシの誕生日などのイベントで外食というと、ここ南国酒家に行くことが多かった。
この1号店は残念ながら平成23年に閉店。この店での思い出を書いていたら、原稿用紙が何枚あっても足りないが、ひとつだけ。中国風の半円形のエントランスを入って階下に下りると、赤いじゅうたんが敷き詰めてあり、ジュークボックスと奥には香港の夜景を映した大きな壁があった。夢のようなダイニングを目の当たりにし、土足じゃまずいと思った妹はいきなり靴を脱ごうとしてみんなの笑いを誘った。
そんな思い出とともに、何といってもこの店のカニの卵入りふかひれスープはアタシに人生で初めて食べ物に感動するという経験をさせてくれた。そしていくら満腹でも食べてしまう、締めに出てくる五目あんかけ焼きそばのうまさといったら尋常ではなかった。
さて、今回はそんな体験をさせてくれた南国酒家の原宿本店である。敷居が高いであろうことを覚悟してアポを取ると、まことに快くお受けしてくださった。そして一言、「お腹をすかしておいでください」。がっついているアタシにとって、この言葉ほどうれしいものはない。
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