「絶好のネタじゃないですか」“アプリ婚”を必死に隠し通したい45歳男、婚約破棄も辞さない切実な理由
45歳、アプリ婚を知られたくないワケ
男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人差があります。ひとつの出来事への解釈や目的が、男性と女性では異なる場合もしばしば。男性と女性では、夫婦のあり方への認識が大きく異なる場合も少なくありません。
魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな男女の“冷酷” と“激情”のあいだを垣間見るエピソードをお届けします。
【冷酷と激情のあいだ~男性編~】
「親を心配させたくないんです。俺の親は高齢だしかなり保守的なタイプ。
インターネットを通じて出会った相手と結婚となると『騙されているのでは』『すぐ離婚するのでは』と心配して大騒ぎするのは、わかりきっています。結婚にも反対するでしょう」
ヨウスケさんは必死にまくしたてます。さらに友人関係にも言及します。
「仲間に知られて詮索されるのも勘弁ですね。俺、これまでモテたことがないし、恋人がいた期間も周りと比べると極端に短いんですよ。
その俺が結婚ってなれば、仲間たちが茶化すのは目に見えていますから…。アプリ婚なんて絶好のネタじゃないですか。いじられると思うと気が重いです」
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やむを得ない嘘もあるのに
「理恵さんからは『隠し事をするのは、おかしい』とは言われましたよ。
でもね…、そこは人によって感覚が違うし、やむを得ない嘘や、人には言いたくないことが一つや二つはあるじゃないですか?
俺にとって、“アプリ婚をする”っていうことが、それなんですよ。
なのに理恵さんは、俺がちゃんと説明をしているのに、受け入れてくれる気はなさそう。呆れ顔で、俺を罵るばかりです」
すでに婚約は済ませているため、今の段階で破談になると“婚約破棄”になると苦笑いするヨウスケさん。できれば最悪の事態は避けたいと、理恵さんを説得したいそうですが…。
結婚にためらいも
「これから伴侶になる男が、本気でお願いをしているのに、冷めた答えしか返ってこない。こういう女性を妻にしていいのか? ってためらっている自分もいます。
でもねー…、結婚はしたいんですよね。親も安心させたいし、理恵さんのことは好きですし。問題は、“アプリ婚”ってのをどうやって隠し続けるかっていうところだけです。
まぁ理恵さんがずっと非協力的だし。そもそも、結婚まで辿り着けるかビミョーになってきましたけどね…」
現在は、以前のようなラブラブムードはなく、ギクシャクした状態が続いているとのこと。
デートも激減し、最後に会ったのはもう2週間も前だと、ヨウスケさんはため息をつきます。
両親だけには知られたくない
「順調に結婚まで進みそうって思っていたんですけどね。甘かったですね。だけど、親を心配させるような結婚なら、しないほうがマシ。
だから、アプリで知り合ったことを両親にだけは、どうしても知られるわけにはいかないんです」
ヨウスケさんは、理恵さんの“配慮のなさ”を嘆きます。
「真実を伝えるのだけが、正しいわけじゃない。複雑な理由があるのに、最初から真実を教えればいいとは限らないでしょう。
結婚して両親が理恵さんを妻として認めてくれたあとならば、『実はさ〜』ってアプリでの出会いを打ち明けてもいいと思うんですよ。
だけど、結婚前にそんなことをあえて言う必要はないし、言ったら多分、ウチの両親は結婚を全力で止めてきますよ。
理恵さんは、どうしてそういう考え方ができないんですかね」
◇ ◇ ◇
恋人同士であれ、夫婦であれ100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。
(並木まき/ライター・エディター)


















