(10)東京・銀座のハイボール
店主は間口一就さん。2002年に銀座に店を出し、角瓶のハイボールと缶詰つまみで一世を風靡、ほぼ四半世紀経つ現在は、工夫したフードメニューを増強して、若い人も、私のような干からびたオヤジも、愉しませる。
「せんせーっ! いらっしゃいませ!」
店主自らお道化てテーブルへ来てくれたので、私はひと言、
「じゃんじゃん、持ってきて!」
と叫んでいた。ここは銀座のバーである。なに、構うもんか、オレにはオレの流儀がある。
アジフライと、すずこ(スジコのこと)のサンドウィッチを頼み、お通しの殻付き落花生を割ってはポリポリ喰う。
ああ、うめえ。酒はうめえなあ。
話す内容といえば、老いた親の介護をいかにするか、ってな話。最近、これが多い。あと、私は遠慮しているけれど、ご自由に好きな話をしてごらんと言われたら、たぶん、4人の孫の話を、デレデレとするに違いない。
なんとも、恰好がよくないが、オレの人生、カッコがついたときなんて、ほとんどなかったよなと、ふと思い、それはそれで、満足だと思う。これは自分に言い聞かせているか。いや、そうじゃない。今夜の酒もすこぶるうまい。それを改めて感じせてくれた東京・銀座のハイボールに、感謝、感謝。


















