著者のコラム一覧
井上理津子ノンフィクションライター

1955年、奈良県生まれ。「さいごの色街 飛田」「葬送の仕事師たち」といった性や死がテーマのノンフィクションのほか、日刊ゲンダイ連載から「すごい古書店 変な図書館」も。近著に「絶滅危惧個人商店」「師弟百景」。

(2)葬儀に訪れた人が“本人”と握手をし、声をかけ、別れを告げる

公開日: 更新日:

「ご葬儀場で、亡くなった人が、背もたれのある椅子に堂々と背広を着てメガネをかけて座っていた。訪れた人たちが、その人と握手をし、『ありがとうございました』などと言葉をかけている光景を目の当たりにしたんです」

 故人さまもご遺族も、何て幸せなんだろうと、胸が熱くなったと述懐する。

 日本でのエンバーミングは、アメリカで技術を習得した川崎医科大学(岡山県倉敷市)解剖学教授(当時)の池田章さんが1974年に医学教育・研究のために導入したのが最初だ。葬儀社では、1988年にアルファクラブ武蔵野(埼玉県川口市=当時)が初めて実施。遺体をドライアイスで保全するのが一般的な日本では、アメリカほど普及しなかったが、衛生管理と外見修復の技術として徐々に知られるようになった。

 現在は、一般社団法人「日本遺体衛生保全協会(IFSA)」が資格制度を設け、専門教育を実施。それを受けて資格を得たエンバーマーが281人。全国91カ所のエンバーミングセンターで施術を行っている。

 具体的に何をするのか。

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