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田中幾太郎ジャーナリスト

1958年、東京都生まれ。「週刊現代」記者を経てフリー。医療問題企業経営などにつ いて月刊誌や日刊ゲンダイに執筆。著書に「慶應幼稚舎の秘密」(ベスト新書)、 「慶應三田会の人脈と実力」(宝島新書)「三菱財閥 最強の秘密」(同)など。 日刊ゲンダイDIGITALで連載「名門校のトリビア」を書籍化した「名門校の真実」が好評発売中。

御三家「武蔵高校」復活の兆し(後編) 東大推薦に3人合格「時代が武蔵に追い付いてきた」と杉山剛士校長

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東大の推薦入試(学校推薦型選抜)にどう取り組むかは進学校や受験業界にとって非常に重要なポイントになっている」と話すのは個別指導塾の幹部。進学実績に直結するだけに対策を立てている受験校は多く、毎年のように推薦合格者を輩出している高校もある。また、「専門のチューターを置いている塾も現れている」(同)という。

 私立男子中高一貫校の武蔵高校は今年、東大推薦に3人(全国合格者93人)が合格した。1つの高校から申請できるのは4人までだが、それは共学の場合。男女各3人までとなっているので、男子校や女子校の上限は3人ということになる。武蔵が枠いっぱいの合格者を勝ち取った秘訣は何だったのか。同校の杉山剛士校長は「東大の推薦のために特別な対策をとってきたわけではない」と話す。

 これまで武蔵からの推薦合格者は東大が同方式を導入した翌年の2017年に1人、20年1人、23年1人、24年1人とポツポツとしかいなかった。それがここにきての大異変である。「偉そうにいうと、やっと時代が追いついてきた」と杉山校長。「武蔵という学校は元々、建学の理念"自調自考"を実践すべく、生徒にたくさんリポートを書かせるなど、(東大が求めるような)研究と親和性があったんです」と話す。

 東大入試事情に詳しい前出の塾幹部は「将来を担う研究者を育てるために、特定の分野での卓越した能力や意欲で判定する推薦を導入した」と解説する。現東大総長の藤井輝夫氏も5年前の就任の際、「学術の高みを目指すには多様な人々が必要で、推薦で採るべき人を採っていく」と、一般入試以上に重視していることを明らかにしている。「受験テクニックを駆使して入ってくる人材よりも、武蔵の生徒のような学究肌タイプが求められている」と塾幹部は話す。つまり、杉山校長の「時代が追いついてきた」はあながち誇張ではないのである。

「とはいっても、私たちは自然体でやってきただけなんです。多くの部分を生徒の自主性に任せてきた。たとえば、今年の東大推薦で文学部に入った生徒。お城が大好きで自分で研究を進めていたら、いろいろ賞をとって東大でも評価された」(杉山校長)

 この生徒は2年連続で東京・板橋区が主催する「櫻井徳太郎賞」を受賞。歴史民俗学に関する研究を表彰するものだ。高1の時は「16世紀甲武"境目"地域における道と城郭」というテーマで優秀賞、高2では「甲武相国境地域の中世城郭と築城背景の考察」で佳作を受賞した。タイトルを見ただけでも、高名な学者のような執念が伝わってくる。

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