御三家「武蔵高校」復活の兆し(後編) 東大推薦に3人合格「時代が武蔵に追い付いてきた」と杉山剛士校長
“自調自考”しながら地道な学力底上げを
東大工学部に推薦合格した生徒は昨年夏、ボリビアで開かれた「国際情報オリンピック」に日本代表チームの一員として出場。84カ国が参加する中で銀メダルを獲得した。同生徒は他の武蔵生2人と「リアル脱出ゲーム甲子園」にも出場し優勝を果たしている。
3人目は理学部へ推薦合格。昨年の「日本地球惑星科学連合大会」でポスター発表。惑星大気の標準モデルを改良する研究で全体の2番目となる優秀賞を受賞した。宇宙研究に関しては、武蔵には心強いOBがいる。宇宙科学研究所の所長だった國中均氏(79年卒、京大工学部出身)だ。探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウを目指すプロジェクトでは中心的役割を果たした。「たびたび武蔵に来ていただいて、後輩たちを応援してもらっている」という。
OBにこうした第一線で活躍する研究者が数多くいるのも武蔵の強み。彼らの生の声を聞くだけで、何物にも代えがたい進路指導になる。3年半前からは「東大研究室訪問」も行っている。
「先輩方の研究室を訪れ、学問の面白さを知ってもらおうという試みです」
1回目は東大大学院医学系研究科の水島昇教授(85年卒、東京医科歯科大出身)の研究室。水島教授はオートファジー(細胞の自食作用)研究の第一人者として知られ、ノーベル賞候補と目されている。観察装置で自食の過程を見せてもらった生徒たちは大興奮していたという。
その一方で、地道な学力底上げも怠っていない。英語はタブレットを使い、読む、書く、聞く、しゃべるの4技能をAIも使いながら叩き込む。「生徒はとても忙しく、読んだり書いたり聞いたりしている。感心するくらいです。スピーキングチェックもここにきて進化している。英語学習の進化は一気に加速しています」
春休み、夏休みなどの補習にしても「これまでは教師が個人的にやっていた。それを組織的に行えるように改めた。外部業者に委託する模擬試験もただ受けるだけではなく、どこが弱いのかを分析し、教科指導に役立てています。武蔵は、大きな志をもって、学問に向き合い、自調自考する。その一方で身近な学習力も鍛えて受験をサポートする。この両輪がバランスよく機能することが大事なのです」
低迷していた時期もあった武蔵だが、捲土重来を果たしつつあるのは間違いなさそうだ。
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