名水を利用したそばの街にスパイスの香り 城下町・松本でカレー店が広がった由来は?
■「カレーが主役」を追求して生まれたカツカリー
松本駅お城口(東口)を出て北に1キロほど進むと松本城だが、駅前のしらかば大通りを渡ると、駅から東に延びる県道沿いにインド料理店が目にとまった。駅前に本格的な店があることに驚き、1軒目の取材先に急ぐ。しらかば大通りを南に歩いてほどなく現れたのが、この街のカレー史を語る上で欠かせない「松本メーヤウ駅前店」だ。東京・信濃町にある日本初のタイカレー店「メーヤウ」で修業を積んだオーナーが、のれん分けで1991年に開いた老舗である。
まずは実食あるのみ。長野にある3店舗のうち同店のみで提供される「ポークカツカリー」(ルー2種で1900円)を注文した。
「トンカツ屋などで親しまれているメニューですが、『カレーが主役』になるように仕上げたかった。エスニックカリー専門店として培ってきた技術を土台に、『カツカレー』を再定義した一皿です。ここでしか食べられないカリーだと自負しています」
とは、2代目オーナーの小山修さん。カツはほどよく薄切りで、衣は卵白のみを使用。重さを感じず、あくまで脇役に徹しているのが食べて分かる。ルーは3種類から2種類を選べるため、出汁を利かせたグリーンカリーとインド風カシミールカリーをチョイス。いずれも既存メニューの流用ではなく、「カツカリー専用」として一から組み立てた味だというから思い入れの強さがうかがえるだろう。
肝心のルーについて。前者はしょうゆとカツオをベースにした合わせ出汁にエスニックの要素を重ねていて、口に運ぶと出汁が香り、後からスパイスが追いかけてくる。後者はサラリとして粘度を抑えた仕上がりで、辛さはシャープ。豚肉の脂と重なることで味の輪郭が一気に立ち上がる。相乗効果がすごい。
あっという間に完食したところで、冒頭の「疑問」をぶつけると、小山さんは少し考えてこう言った。
「『カリーラリー』を始めたのが一役買っているかもしれません」
2月から3月に開催されるこのイベントは今年で11回目。参加店舗数は81にまで広がり、カフェやバー、和食店も期間限定でカレーを提供する。
「冬の閑散期を何とかしようと、身内ノリで始めたんです。それがここまで規模が大きくなり、気がつけば専門店まで増えていました。それが正直な実感です。地元の皆さんにも認知度が広がっているようで、『初めて外食でカレーを食べた』という方もいらっしゃり、手ごたえを感じています」
なるほど! そういうことか。満腹の腹をさすりながら店を出て、次の店に向かうべく、松本城方面へ足を進める。

















