著者のコラム一覧
大竹聡ライター

1963年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部卒業後、出版社、広告代理店、編集プロダクションなどを経てフリーに。2002年には仲間と共にミニコミ誌「酒とつまみ」を創刊した。主な著書に「酒呑まれ」「ずぶ六の四季」「レモンサワー」「五〇年酒場へ行こう」「最高の日本酒」「多摩川飲み下り」「酒場とコロナ」など。酒、酒場にまつわるエッセイ、レポート、小説などを執筆。月刊誌「あまから手帖」にて関西のバーについてのエッセイ「クロージング・タイム」を、マネーポストWEBにて「大竹聡の昼酒御免!」を連載中。

(36)海鮮定食を求めて真鶴へ

公開日: 更新日:

 イサキの塩焼きもいい。サザエのつぼ焼きとアジのたたきがあれば徳利の2、3本はいけてしまう私だが、この塩焼きの魚というのも大好きで、たちまち、ご飯が食べたくなる。そこで白飯をほおばると、味噌汁が恋しくなって、ズズッと啜る。冷めてしまって残念至極なのだが、それでも、ワカメの鮮度がいいのか、ほのかに磯の香りがするではないか。

 サザエもアジもイサキもタイも、この食卓にのっている魚すべて、真鶴の岬が突き出した相模湾の幸だろう。豊かだなあ、と腹の底から思う。港は小さいし、係留されている漁船も小さいけれど、真鶴港は漁港なのだと改めて思う。そして、港近くの飯屋で飲む酒は、つまみが地の魚であればあるほど、うまくなるのだと合点がゆくのだ。

 腹いっぱいになり、軽く酔って、店を出る。駅まで戻るバスを待つ間、店の前の琴が浜から相模湾を眺めるのも楽しい。梅雨の晴れ間の強い日差しを浴びて、潮の香りを嗅ぐ。上出来の散歩酒というものだろう。

 やがてバスが来る。帰りの東海道線の車中では、この軽い酔いにまかせて少し眠ることにしようか。

【連載】大竹聡 大酒の一滴

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