在宅死の高い壁をどう克服するか…5~6割が「最期は自宅で」と希望しても実際は2割に満たず
欧州3カ国と日本の訪問看護師数の差
医療経済研究機構が2002年に発表した「要介護高齢者の終末期における医療に関する研究報告」では、日本とスウェーデン、オランダ、フランスの在宅における看取りデータを調査。80歳以上の割合は、日本の4.4%に対し、ほかの3カ国は3.4~5.3%と大差ない。
人口1000人あたりの就業看護師数は、トップ・オランダの14.2人には及ばないものの、日本の9.0人はフランスの7.7人を上回り、スウェーデンの10.6人に迫る。
それなのに、日本の在宅死が当時13.4%にとどまった要因の一つとしてあげられるのは、訪問看護師数の少なさだ。日本は0.4人で、在宅死率が5割を超えるスウェーデンは4.2人、同31%のオランダは2.7人、そして同24.2%のフランスは1.2人だ。日本の少なさは突出している。
こうした状況を受け、富家氏が問題視するのは看取る家族の意識だ。富家氏が続ける。
「訪問診療が受けられなければ、病院をはじめ医療機関に頼るしかありません。そうすると、本人が希望する『自宅で安らかに』とは真逆の『病院で苦しい最期』になりかねないのです。たとえば口から食事を取れなくなれば、お迎えが近づいていることを意味します。そんな状況に接した医師は、『点滴で栄養を補いますか、それとも胃ろうで直接胃に補給しますか』と必ず家族に迫る。そこで患者と家族の間で亡くなる直前の意思疎通ができていないと、家族が延命措置として点滴や胃ろうなどを医師に希望するケースが少なくないのです」
そんな現実だけに、自宅での最期をかなえるには元気なうちにしておく準備が大切だという。
「まず訪問で介護と医療を提供する施設をチェックして、その中で信頼できる訪問医療施設をかかりつけ医にしておくのが一つ。もう一つは、子供や妻など看取ってくれる家族と終末期の医療について希望することをしっかりと打ち合わせて、メモに残しておくこと。私は正月に息子と食事するときにそのメモを毎年更新して渡しています。その中身は、前述した点滴や胃ろうによる栄養を拒否し、呼吸が苦しくなったときは酸素吸入はしても気管への挿管はしない、心臓や呼吸が止まったときの蘇生措置もしない、など。このメモは、訪問医療施設がないときに苦しまない終末期医療を実現する上でも大切ですから、家族に残しておくことをお勧めします」(富家氏)
自分なりの理想をかなえたければ、元気なうちに家族と話し合って準備しておこう。
◇ ◇ ◇
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