シャープだけじゃない アベノ円安で日本企業は爆買いされる
台湾の鴻海精密工業がシャープを買収することで大筋合意した。産業革新機構に支援させたかった経産省などは、「日本の技術が流出する」と懸念を口にしていたが、買収金額が7000億円VS3000億円では、経済合理性からいっても勝負アリだ。
日本のトップメーカーが台湾企業に買収されるという事実に、日本国内は驚いているものの、これは“序の口”と考えた方がいい。アベノミクスの円安誘導政策によって、ドルベースで見ると日本企業は“お買い得”になっている。中国や台湾、インドなどの企業による日本企業買収が、今後増えるのは確実だ。
「円安にすれば輸出企業の業績が上向き、景気も良くなるというのがアベノミクスです。しかし、円の価値をおとしめたことで、多少株価が上昇したとはいえ、日本企業の市場価値はかなり割安になりました。安倍政権はいまだ日本がアジアで圧倒的な経済大国だと勘違いしているのでしょう。かつては、中国や台湾の企業が日本の大企業を買収するなんて全く考えられませんでしたが、時代は変わったのです。アジアから観光客が大勢訪日するのは、円安で日本の商品が安いから。爆買いが『企業レベル』のM&Aに拡大してきたということです」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミスト・田代秀敏氏)