何を今ごろ…安倍首相の“防災投資”タイミング悪すぎる根拠
金利上昇の機運が出てきた。日銀は7月の金融政策決定会合で長期金利上昇容認へ転じたが、安倍首相も総裁選中、異次元金融緩和からの出口戦略について「任期中にやり遂げたい」と口にした。長引くゼロ金利政策は、金融機関を圧迫し、国債市場は機能不全になっている。健全化を探るのは当然だが、やっかいなのが災害向けのインフラ整備だ。国債の金利アップは、公共事業のブレーキになる。
土木学会の試算によると、南海トラフ地震による被害総額は20年間で1410兆円に上り、政府の税収も131兆円が失われるという。南海トラフ地震自体は防げなくても、事前に4兆円を災害対策に投じ、1%でも被害が減れば、10兆円セーブできるのだ。
さしあたっての出費をケチったばかりに、後々かえって高くつくということは、個人でも国家でもあることだ。災害対策のインフラ整備はその典型例。有事前の対策が、損害拡大を食い止めれば、結局は損害額が少なくて済む。しかも、インフラは消耗品ではない。借金で整備しても、子や孫もモノを享受できる。決して、ツケだけを回しているわけではないのだ。