LA初試乗!ポルシェ初EVタイカンは体感しないとわからない
まさかこんな奥深い味だったとは! そう、ポルシェ初のピュアEVセダン、タイカンだ。今回LAで行われたWCOTY(世界カー・オブ・ザ・イヤー)試乗会でラッキーにもチョイ乗りできたのだが、完璧に予想外。ある意味、凄すぎる超ストロングスタイルだったのだから。
既に連載でも書いたように、数カ月前の上海のワークショップで開発エンジニアと話はしていた。ざっくりアウトラインを言うと今、破竹の勢いで販売を伸ばしている北米EVベンチャーのテスラ・モデルSの対抗馬的。それはボディーサイズなどを見れば明らかで、カテゴリーはポルシェらしからぬ4ドアセダンだし、全長4963mm×全幅1966mmもほぼガチンコ。唯一、全高1378mmがモデルSよりかなり低いが、そこには明確な意図が見て取れる。「ウチはテスラより本格的だ」と。ボディーデザインも実にポルシェらしい流麗なエアロフォルムだ。
ハンドリングは911より滑らかな部分すらある
一方、当初発表されたパワースペックは意外にもモデルSより低く、当初リリースされた2グレードのうち、ハイパワーなターボSのピークパワーは761psで、真ん中グレードのターボは680ps。同じく前後ツインモーターのモデルSのハイパフォーマンスモデル、P100Dは796psだからスペック的には負けている。0-100km/h加速もP100Dが2.7秒なところをターボSは2.8秒。
しかしこれを前述エンジニアにぶつけたところ「アチラは最初だけでしょ」と言った。これまた「ウチとは作りが違うよ」という含みがあり、実際EVは最初の1回だけ速くても、モーターやバッテリーが暖まった2回目は劣ることが多い。しかしタイカンはその手の劣化がまずないのだ。
なにより今回LAの峠道で乗るなり驚いた。加速が超なめらかでヴィヴィッド。ハンドリングは限界が摑みやすい上、コーナリング状況が手に摑むようにわかる。まさしくポルシェ以上にポルシェしていて、ヘンな話、硬派で知られる911より滑らかな部分すらある。こればっかりは乗っていただくほかはないが、筆者以外のウルサ型のレーシングドライバーもクチを揃えて「タイカンには負けた」と言い切った。それくらい走り味がいいのである。そのデカすぎるボディとはウラハラに。
ここまでキモチいいとは……
実は筆者は、さすがのポルシェと言えど、EVは走るスマホ的魅力であり、自動運転機能で迫るのかと思っていた。もちろんタイカンもメーターは全面デジタルで、アナログ操作はATシフトぐらいしかない。追従式オートクルーズなどのセミ自動運転機能もひと通り付いている。だが、あくまでもポルシェはポルシェ、走り味で勝負するのだ。
実際、電動になった分、加速は今まで以上にコントロールでき、それこそ100分の1秒単位で変えられる。しかし、それが味わってみるとここまでキモチいいとは……。
ポルシェ・タイカン、その魅力はまさに「体感」しないとわからないのである。