小沢コージ
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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

トヨタ・マークXの終焉で…国産セダン絶滅危機は本当か?

公開日: 更新日:

全盛期には月間4万台を販売

 昨年中、秘かにマニアの心をかき乱したのは「トヨタ・マークXが19年12月を持って生産終了する」のニュースだろう。マークXと言えば、前身モデルの「マークⅡ」を含めオッサン世代にとっての永遠のミッドサイズ・セダン・アイドルである。事実1990年前後の全盛期にはチェイサー、クレスタの“3兄弟”を合わせて月に4万台も売れた超人気セダンだったのだから。

 今一番売れるホンダNーBOXですら月販2万台超だから、その凄さが伺える。というか、当時の国内マーケットは年間700万台レベルで、今は500万台レベル。そもそも日本の景気が良く、同時に国内専用4ドア車が人気を誇っていた。クラウン、マークⅡのトヨタ勢はもちろん日産セドリック、グロリア、セフィーロ、当時「シーマ現象」とも言われた3ナンバーセダンのシーマまであった。

 他にもホンダ・アコード、シビックセダンにインスパイア、ビガー、三菱ディアマンテ、マツダ・ルーチェ、センティアにアンフィニMS-9などというセダンやセダンもどきの4ドアハードトップが嫌というほどあったわけで、今の絶滅危機は間違いないところ。

 現行セダンで販売ランキング50位以内に残っているのは、トヨタ・カローラ、クラウン、マツダ3、カムリ、レクサスESのわずか5車種。中でも事実上のセダン専用車はクラウン、カムリ、ESの3車種しかなく、セダン凋落は決定的だ。今も「日本でセダンが売れている」思っている人がいたとしたらそれは幻である。

 その傾向は特にワールドワイドで顕著で、世界最大の自動車マーケットである北米と中国では完全にSUVがセダンを逆転。市場全体の4〜5割をSUVが占めている。日本はまだハッチバック、ミニバン中心なので、そういう意味では特殊なマーケットだが、セダンが売れていない点では同じ。データで見る限り、マークXの生産終了はしかたないことなのだ。

 実際、マークXが国内月販ランキングで50位以内に入ったのは17年6月が最後。その後はずっと月間1000台以下を低迷。悲しいけど売れてないのは事実である。

クルマを分かっている人はセダンを選ぶ

 ただし、唯一の例外かつ面白いのは輸入車マーケットであり、プレミアムマーケットだ。国内では内訳が基本公開されないのでわかりにくいが、今もメルセデス・ベンツCクラス、BMW3シリーズ、アウディA4の輸入車プレミアムセダンは年間1万台前後はいくといわれている。そのほか最近はコンパクト系のベンツAクラスセダンや新型CLAも加わり、一部のリッチなファンはプレミアムなセダンを愛し続けている。

 それは今も月販2000〜3000台を切らない永遠のドメスティックセダン、クラウンのユーザーマインドに似ているのかもしれない。それは「クルマを分かっている人はセダンを選ぶ」という真理だ。

 確かに、広さを求めず走りの質を求めるならば、今もセダンはハッチバックやSUVを凌ぐ。SUVより絶対的に車高が低く、ハッチバックのようにリアが車内に直結してないのでボディー剛性は高くなる。スタイルも3ボックスの端正さが気に入ったら、他はみな“荷物車”だ。

 つまりプレミアムセダンは、「とらや」の羊かんのようなポジショニングで激動の自動車界を生き抜く可能性があるのだ。ただしそこには一定のブランド力とクオリティーを必要とする。マークXはその世界にあと少し力が及ばなかった、と取れなくもないのである。

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