コロナ禍の2021年 早期退職者募集「過去最高規模」の背景
2021年は早期退職者を募集する企業が過去最大規模となりそうだ。東京商工リサーチ(TSR)の最新調査(12月29日)によると、上場企業の21年1月1日からの「早期・希望退職者」募集は18社、募集人員は3360人となった。前年同期の7社から2・6倍に急増、過去最大だったリーマン・ショック時直後(09年の10社)に比べ約倍増しているのだ。
ちなみに昨年の上場企業「早期・希望退職者」募集は90社、募集人員は1万7697人(TSR12月7日まで)で、リーマン・ショック直後に次ぐ水準だった。コロナ禍の影響が拡大する昨年前半まで、人手不足が解消できず人手不足倒産が続出する労働環境は一変してきたのである。TSR・友田信男情報本部長が早期退職者募集が急増する背景をこう分析する。
「コロナの影響で大打撃を受ける昨年前半までは、大量入社組の人員構成の是正や新規事業への取り組みで採算性の低い分野を縮小するための構造改革が中心でした。しかし、昨年後半からコロナの影響で業績が悪化、業績不振による赤字リストラの実施による影響が今年の18社の早期退職募集に出てきています」