FCVミライの還元率はGoToトラベル並み EVとどちらが得?
昨年12月21日以降に新規登録・届出された次世代電動車が税金で大幅に値引きされている。電気自動車(EV)の購入時の補助金は最大80万円と従来の2倍、燃料電池車(FCV)の補助金も上限額が225万円から250万円に引き上げられた。自治体が独自に実施している補助事業との併用も可能で、例えば日産「リーフ」の場合、400万円を超える上級車種でも300万円程度で購入することが可能となった。710万円のトヨタの新型FCV「ミライ」も補助金を最大限利用すれば460万円で手に入れられる。
「FCVはコストの高さやインフラ整備がネックとなってEVに比べて普及が遅れてきました。しかし、規制緩和が進み、石油元売り最大手のENEOSホールディングが22年から市街地の給油所で水素充填サービスを展開します。FCVはEVよりも航続距離が長い、フル充電まで1時間ほどかかるEVに比べて水素の充填が大幅に短いといったメリットがあります。さらに“補助金パワー”が加わったことで、今後はFCVの購入を検討する人も増えそうです」(自動車販売ディーラー)
“盲点”もある
ただ、“お買い得だから”とFCVに飛びつく前にじっくりと考えた方がいい。まず、水素ステーションが身近な場所にあるかどうか。EVの充電ステーションが全国に約2万カ所あるのに対し、水素の供給拠点は140カ所しかない。今後、水素充填施設が増えていくとしても、しばらく時間がかかりそうだ。
「FCVは燃費もEVより高めです。ミライの燃料コストは1キロメートルあたり約7円ですが、リーフは半額の3.5円と約2分の1。今後、太陽光発電で水素を製造、貯蔵、供給する充填装置が普及することで、しばらくするとFCVの燃費も改善されていく流れですが、まだしばらく時間がかかるでしょう。しばらくFCVはバスやトラックなど商用車を中心に普及していくことになるでしょう。補助金を活用してすぐに次世代電動車を購入したい人はEVを中心に検討した方が無難です」(経済ジャーナリストの井上学氏)
ミライの補助金は約35%とGo Toトラベル同じ還元率だが、目先の損得だけで考えない方が賢明だ。