食品年間輸出額が初の1兆円突破も…新目標「30年に5兆円」達成が困難な理由
「ついに」か、それとも「やっと」か──。日本の農林水産物・食品の年間輸出額が2021年に初めて1兆円の大台を突破した。06年に長期目標として掲げてから約15年をかけての達成となる。ただ政府は20年3月末に「30年に5兆円」という新たな目標を閣議決定している。道のりは遠い。
農林水産物・食品輸出は21年に入ってほぼ毎月対前年同月比20~40%増のペースで伸び、11月までで1兆779億円に達した。最終的には前年比2割超増の1.2兆円規模に膨らんだ見込み。10年前のおよそ2.7倍の水準となる。新型コロナ禍がやや落ち着きをみせ、中国や米国での外食向け需要が持ち直したのが要因。越境ECなど海外からのネット通販拡大も後押しした。
仕向け地別の輸出額では中国がトップで、昨年10月までの統計では前年比約4割増。20年首位の香港は中国向けの伸びを下回り2位に後退した。以下、米国、台湾、ベトナムの順となっている。
品目別で最も伸びが大きかったのはホタテ貝で前年比倍増。牛肉やウイスキー、日本酒なども倍近い伸びを記録した。またコロナ禍の“福音”か。1食分の食事を作るのに必要な食材と調味料にレシピをセットにした「キット輸出も増えている」(農林水産省筋)という。