外資系企業に異例の巨額拠出…台湾TSMCらに最大4760億円の補助金交付が決定
半導体企業に補助金──と聞いてエルピーダメモリを想起した人も少なくなかろう。公的資金300億円をのみ込んだ挙げ句、2012年2月末、会社更生法の適用を申請して経営破綻した「日の丸」半導体メーカーである。
半導体ファウンドリー(生産受託)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が中核となって熊本県菊陽町に建設中の半導体新工場に最大4760億円の補助金が交付されることが決まった。
21年度の補正予算で国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」に創設された6170億円の基金から24年度までに順次、支給する。外資系企業への巨額拠出は異例だ。
新工場はTSMCのほかソニーグループやデンソーも出資する合弁企業が24年末の出荷開始をメドにソニーの半導体子会社工場の隣接地21.3ヘクタールで4月から建設を進めている。総投資額は86億ドル(約1.1兆円)で、その半分近くが国民の“血税”も入った補助金で賄われる形になる。
生産するのは回路線幅10~20ナノメートル台(1ナノは1ミリの100万分の1)のロジック半導体で、月産能力は300ミリウエハー換算で5.5万枚。電子機器や自動車・同部品メーカーなどに供給する。従業員は1700人規模とし、うち「1200人を地元から雇用する」(TSMC関係者)としている。