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小沢コージ自動車ジャーナリスト

雑誌、web、ラジオ、テレビなどで活躍中の自動車ジャーナリスト。『NAVI』編集部で鍛え、『SPA!』で育ち、現在『ベストカー』『webCG』『日経電子版』『週刊プレイボーイ』『CAR SENSOR EDGE』『MONOMAX』『carview』など連載多数。TBSラジオ『週刊自動車批評 小沢コージのカーグルメ』パーソナリティー。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)、『車の運転が怖い人のためのドライブ上達読本』(宝島社)、『つながる心 ひとりじゃない、チームだから戦えた 27人のトビウオジャパン』(集英社)など。愛車はBMWミニとホンダN-BOXと、一時ロールスロイス。趣味はサッカーとスキーとテニス。横浜市出身。

マツダ ロードスターまたまた大幅改良!なぜここまでヤルの?

公開日: 更新日:

マツダ ロードスター(車両価格:¥2,898,500/税込み~)

 日本が誇るピュアオープンスポーツカー、マツダ ロードスターがまたまた商品改良を受けた。今年で9年目を迎える4代目だが、毎年のように小改良や新装備や新カラーコーディネートが加えられており、ホントにシツコイくらいの進化。

 今からほぼ2年前にも久々1トン切りのストイック仕様「990S」やユニークなキネマティック・ポスチャー・コントロールなる車体制御技術も投入。1~2年でよくぞそんなに進化ネタを見つけると思うが、このたゆまぬオタッキーな姿勢こそがマツダの真骨頂だ。早速試乗してきた。

 今回は「大幅」改良と言うように、外観からインテリアから走りまで全域進歩しているが、分かりやすいところではまずヘッドライト。ロードスターは長らくヘッドライト本体はLEDだったがウィンカーはバルブのまま放置され、今回は前後ライト共にフルLED化(ただしサイドパネルのウィンカーはまだバルブ)。同時に昼間点灯するデイタイムランニングライトが新設され、レンズカッティングもよりモダンに印象的になった。

 また新デザインのアルミスポークホイールが選べるようになり、インテリアでは8.8インチ横長ディスプレイを投入。コネクト性能も進化して遂にグーグルアレクサに初対応。カラー的にもボディーは新色エアログレーメタリック、幌はベージュ、インテリアではこれまたベージュのスポーツタン内装が選べるようになった。

ハンドリングの改善にはビックリ

 ただし、見た目だけで終わらないのがロードスターの凄さ。まずパワートレインだが1.5ℓガソリンは国内のハイオクガソリンに合わせた新セッティングを施し、4psアップの136psに強化。同時に、2ℓエンジンも含め駆動力制御を最適化。乗ると顕著で、アクセルを踏んだ瞬間のトルクの厚みが増した。

 さらなる驚きはハンドリングの改善で、6MTの一部グレードに関してはマツダ新開発のアシンメトリックLSDを初搭載。これはコーナリング中の駆動力伝達をより安定化させるもので、加速時と減速時で非対称の制御が可能。コーナー立ち上がりはよりナチュラルに、コーナー侵入ではよりリアが安定するようになった。

 加えて電動パワステを改良することでよりシャープなステアリングフィールを実現。基本骨格は同じだが、今まで以上のハイスピードで、安心の手応えでコーナーに突っ込めるようになった。ハッキリ言って歴代最高の走り味といっていい。

大幅改良の主眼が「サイバーセキュリティ対策」だった

 一方で少し悲しいのは、前述した1トン切りの990Sの後継モデルが出てこなかったことで、今回の最軽量グレードは車重1010kgの「S」。ただ、コチラはコチラで懐かしい初代ロードスターのようなヒラヒラ感が味わえる。

 そして最後に開発陣に聞いて驚いたのは、今回の大幅改良の主眼が「サイバーセキュリティ対策」だったこと。昨今の厳しい日欧レギュレーションもあり、ハッカーからの攻撃に耐えるよう電子プラットフォームを一新。今回ロードスター初の追従オートクルーズや後退時検知機能も付いたが、それはどちらかというとオマケで、メインはサイバー対策だったというわけ。

 一見楽しそうにもみえるスポーツカー作りだが、ウラ側は大変。いろんな敵であり、障害が待ち受けているというわけなのだ。

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