著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

日本製鉄に立ちはだかるUSスチール巨大労組と族議員たち…買収完了への道のりはまだ1合目

公開日: 更新日:

 このうちとりわけ難路が予想されているのがCFIUSの審査だ。M&Aが米国の安全保障上の脅威と見なされれば大統領に「差し止め」を勧告する権限を持つが、委員会のメンバーは政治任用。時の政権の意向に左右されやすく、「裁量の範囲が大きい」(事情通)ためだ。

 しかも11月の大統領選挙における労組票取り込みをにらみ、現職のバイデン氏は3月「慎重」な姿勢を表明。先週の日米首脳会談後の記者会見でも「私は米労働者への私の約束を守り続ける」としてUSWに寄り添うかのような意向を示した。

 共和党の大統領候補指名を確実にし、バイデン氏とその座を争うトランプ氏に至っては「私(が大統領)なら瞬時に(買収を)阻止する」とバッサリ。取り付く島もない。

中国政府との密接ぶりに注意喚起

 日鉄にとって厄介なのは鉄鋼族の一員とみられる上院議員らが同社と中国政府との密接な関係性への注意喚起を訴えていることだろう。現在ではすっかり冷え切っているとはいえ、かつては「中国の製鉄業近代化にひとかたならぬ支援を注いだ」(鉄鋼業界筋)のは事実。歴代経営陣の中には中国への「贖罪(しょくざい)意識」を口にする首脳もいた。

 買収完了への道筋ははるかにかすんだままだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった