著者のコラム一覧
有森隆経済ジャーナリスト

早稲田大学文学部卒。30年間全国紙で経済記者を務めた。経済・産業界での豊富な人脈を生かし、経済事件などをテーマに精力的な取材・執筆活動を続けている。著書は「企業舎弟闇の抗争」(講談社+α文庫)、「ネットバブル」「日本企業モラルハザード史」(以上、文春新書)、「住友銀行暗黒史」「日産独裁経営と権力抗争の末路」(以上、さくら舎)、「プロ経営者の時代」(千倉書房)など多数。

資生堂(上)“プロ経営者”である魚谷雅彦会長は退任のタイミングを逸してしまった

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 資生堂ブランドを再生させたキーワードは、高価格帯の化粧品をインバウンド(訪日観光客)に売り込むこと。別の言葉でいえば、プレステージブランド&ボーダーレスマーケティングである。

 プレステージブランドとは、購入することが地位の高さを証明すると認められるような高価格帯戦略をいう。インターネットの普及により国境の壁をなくして売り込むことがボーダーレスマーケティングだ。どちらも、魚谷が最も得意とするところだ。

 プレステージブランドでは「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポーボーテ」といったスキンケア化粧品に集中投資した。スキンケア商品は採算性が非常に高く、商品によっては粗利益率が8割以上といわれている。

 中国人観光客に焦点を当て、日本でプレステージ化粧品を手にとってもらい、帰国後、中国で購入してもらうというのがボーダーレスマーケティング。これが功を奏した。魚谷は華々しい成果を挙げた。この時が、魚谷の全盛期だった。

 マーケティングのプロは短期決戦型が多い。魚谷は引き留められて資生堂から抜け出せなくなった。

 その結果、後半戦は厳しいものとなった。 (一部敬称略、つづく)

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