石油化学大手“ガチンコ再編”の可能性…エチレン稼働率が27カ月連続で大台割れへ
ところが、これが22年8月以降、26カ月間にわたって大台を下回り続けているのだ。業界団体である石油化学工業協会(石化協)によれば9月の稼働率は80.2%。生産量も38.97万トンと前年同月比で9.7%も落ち込んだ。
統計を遡れる1991年以降では「石化不況」といわれた11年10月から13年11月までにかけての低迷期と同水準。業界内からは「中国製品が東南アジアなどに大量に流れ込み、市況も緩みっぱなし。採算が上向く気配は乏しい」との悲鳴も上がる。脱炭素や廃プラの加速も需要反転への逆風だ。
■進む設備集約化
そんな中、始まっているのが設備集約化の動き。国内のエチレン生産量の3分の1を占めるとされる京葉地区のコンビナートでは、27年度に出光興産がプラントを停止。三井化学に集約する方向で調整が進む。30年には丸善石油化学や住友化学も加わって全4基体制を2基に圧縮する構想も検討されている。旭化成、三井化学、三菱ケミカルの3社は水島地区(岡山県)などでの「生産最適化を見据えた設備再編を探る」(関係筋)。レゾナック(旧昭和電工)は石化事業の分離に踏み切った。本体同士による“ガチンコ再編”の可能性も捨て切れない。
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