国内自動車大手6社で減益4兆円の恐れ…トランプ関税と円高のWパンチで「我が世の春」の終焉
下請けイジメのツケも回って…
問題は自動車大手6社の想定為替レートだ。2025年3月期の設定(第4四半期)は、1ドル=150~153円の水準だった〈別表〉。為替変動の業績への影響度を示す「感応度」を見ると、1円円高が進めばトヨタの営業利益を年間で500億円ほど押し下げる効果があるという。日産は120億円、ホンダは100億円、SUBARUは110億円とそれぞれ減益が生じる見込み。
すでに想定よりも10円近く円高が進み、この水準が続いただけで各社の減益幅は合計9020億円に達してしまう。自動車関税分と合わせて総額4兆円超もの利益が消失しかねないのである。
「想定為替レートの円高方向への修正は必至とはいえ、減益を抑えるにはコスト削減が不可欠。しかし、そのシワ寄せを従来通り下請けに押しつけられなくなっています。仕事の数を増やすと値引き交渉を持ちかけても、どの下請けも慢性的な人手不足で受注増に対応できません。しかも取引適正化で政府も下請けを後押し。絶対服従の気配はなく、苦しむのはメーカー側です。長年の下請けイジメのツケを払わされる格好です」(経済ジャーナリスト・井上学氏)
円安物価高に苦しむ庶民を尻目に、長年の円安で我が世の春を謳歌してきた自動車メーカーには、壊滅危機が差し迫っている。
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「自動車関税」で米国の譲歩が期待できないワケは…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。
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