14億円規模の事件で注目 地面師詐欺に狙われるのはこんな土地

公開日: 更新日:

 相続を巡る問題も深刻だ。相続人が複数いて話がまとまらない土地や、手続きが長年放置された土地が各地で増加している。関係者が多く権利関係が複雑になるほど、なりすましの余地が生まれやすくなる。さらに、外国人投資家による不動産取得も拡大している。所有者が海外に居住している場合の所在の確認は困難で、本人確認でも言葉の壁が出てくる。

 それとは別に制度的な問題もある。日本の登記制度では書類が整っていれば疑われることは少ない。実際に今回の事件では印鑑や書類があったことで、形式上は登記が動いてしまった。

 全国の法務局で処理される不動産の登記数は年間で約970万件にも及ぶという。もちろん、そのほとんどは滞りなく、うまく回っている。

 これから、前述の条件を満たす物件が増えれば地面師被害も拡大する可能性がある。しかし、それでも全体の処理件数からすれば詐欺の可能性はわずかな割合にしかならず、抜本的にシステムを変える機運は高まりにくいのが実情だ。

 つまり、地面師が活動する土壌は温存され、高齢化や国際化といった社会構造の変化が拍車をかけているのだ。

 地面師はドラマの中だけの存在ではない。今日もどこかで次の獲物を探しているに違いない。

(ニュースライター・小野悠史)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 4

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  5. 5

    狭まる維新包囲網…関西で「国保逃れ」追及の動き加速、年明けには永田町にも飛び火確実

  1. 6

    和久田麻由子アナNHK退職で桑子真帆アナ一強体制確立! 「フリー化」封印し局内で出世街道爆走へ

  2. 7

    松田聖子は「45周年」でも露出激減のナゾと現在地 26日にオールナイトニッポンGOLD出演で注目

  3. 8

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  4. 9

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 10

    実業家でタレントの宮崎麗果に脱税報道 妻と“成り金アピール”元EXILEの黒木啓司の現在と今後