マンション所有者の無知につけこみ積立金狙う…大規模修繕工事や管理会社の闇
「中規模以上の200戸、300戸クラスのマンションになると工事金額が大きくなるため、建設会社は積極的になります。マンションも住民も高齢化し、必ずしも建築工事に明るくない管理組合が厳正に工事会社を選定するのは難しいかもしれません。談合や利害関係者の誘導をどうやって回避するのかは難しい問題です」(不動産アナリスト・長谷川高氏)
管理組合の理事長を買収したり、コンサルタントを介して相場より高い金額で受注させるほか、実際に工事会社が住戸を購入して管理組合に正式に入り込んで、自社に有利な議論を誘導する行為も指摘されている。
少なくない築古マンションなどで修繕積立金が足りなくなる現象が明らかになる中、業者の違法行為で打撃を被るのは住民側だ。だが、それを防ぐのは容易ではない。
「工事金額が大きくなれば、さまざまな建設会社が工事を受注したくなります。一方、建築費が高騰し、新築マンションの着工件数が減少する中で増えているのが大規模修繕工事です。そこで重要なのが、管理組合にアドバイスする立場の管理会社のコンプライアンスがまともかどうか。管理組合に寄り添って適正な工事会社を一緒に選んでくれるのか。談合の結果の見積もりが出てこないように見張れるのか。つまり、信用できるパートナーか否かが重要です」(長谷川高氏)
住民側はハナから疑ってかかるしか被害を防ぐ方法はないのかもしれない。