キコーナ 木下春雄会長(1)パチンコ店業界3位のグループを率いる創業者の紆余曲折
「作業員たちは弁当を温めるためよくたき火をする。火の番をして喜ばれました」
高校は2人の兄と同様、東京の学校に進んだ。志望校の受験に失敗し、たまたま生徒募集の新聞広告を見た私立堀越高校に入った。
そこでも友人は少なかったが、「寺島君」とは親友になった。
「兄の家に下宿していた私は弁当がない。それを見ていた寺島君が、弁当を半分分けてくれたのが最初でした」
乱暴な不良少年だった寺島君だが、面倒見は良かった。その後も何度も家に招いて食事をごちそうしてくれたという。
「そんな彼がひと目ぼれしたのが“ミス堀越”と呼ばれた先輩の女性でした」
相手にされないだろうと思っていたが、卒業後何年か経って寺島君から連絡が来た。その女性と結婚するから、披露宴の司会をしてくれという依頼だった。
「聞けば結婚相手は有名女優の妹さんで、びっくりの連続でした」と、木下氏は振り返る。
63年、大学は2浪して中央大学法学部に進んだ。あまり勉強には身が入らなかったという。