ラジオ大阪の経営リスクがドーナツ社との提携で浮上…株主代表訴訟騒動で明らかに
「問題の焦点はド社の肝いりで始めた深夜帯の帯番組です。同番組はド社のライブ配信アプリ『ミクチャ』でも配信されたが、制作費はラジオ大阪が負担。本来支払われるべき出稿料も免除され、総額5億5000万円が利益供与の形でド社に流れそうです」(ラジオ大阪関係者)
ラジオ大阪の吉野達也社長は訴訟に先立ち、6月10日に株主宛てに「お知らせ」を送達、ド社による会社〈私物化〉により、3億3000万円超の損失があったことを明言。これに対し、6月20日にド社の西村啓成社長が反論文を送付、費用負担や貢献があったと主張していた。両者の応酬が、株主代表訴訟に至った背景だ。
しかし、お盆開け早々の8月21日にラジオ大阪は臨時取締役会を開き、66年ぶりの新株発行による増資を決定。外部から新たな取締役を迎えたが、6月、8月と短期で役員が入れ替わるという異常事態に。新体制の発足により、訴訟はいったん取り下げられたものの、根本的な解決には至っていない。
「増資は輸血にはなっても、恒常的な赤字体質の止血にはならない。資本注入と同時に、新たな出稿先の確保が不可欠です」(前出の関係者)
老舗メディアと新興IT企業の提携は、期待された相乗効果は生まず、経営リスクを顕在化させる結果になっている。
(ジャーナリスト・横関寿寛)