価格高騰であきらめも肝心…「郊外の駅近」vs「都心の駅遠」、正解はどっち?
業界に根強く残る「徒歩10分の壁」
マイホームを購入する際は、将来の資産価値も重要な判断材料だ。
不動産販売の現場に30年近く立ち会ってきた大手不動産会社役員はこう話す。
「住宅選びは一般論として“駅近”を選ぶのがセオリーです。不動産業界では『徒歩10分の壁』という言葉があり、10分圏内を超えると途端に売れ行きが鈍る傾向があります。多くの人にとって、駅から遠いことはデメリットなのです。売却するときも同様で、駅近の物件が安定して売れやすい一方、駅遠の物件は売却まで時間がかかり、値下げを繰り返すケースもあります。引っ越しや住み替えを前提にするなら、駅近を選ぶのが無難でしょう」
ただし、駅から遠くても人気が落ちにくい街もあるという。大手不動産会社役員が続けてこう言った。
「分かりやすいのは、吉祥寺や下北沢のようなブランド力のあるエリアです。これらの街は、住みたい街ランキングでも常に上位に入る人気タウンで、根強い需要があるため、駅から多少離れても家賃や価格が大きく下がりにくいのです」
都内では、駅近が人気になる一般的なセオリーに反し、駅遠で高い人気をキープするエリアが存在する。麻布十番は、都営大江戸線が開通する前まで“陸の孤島”として知られていた。同じように松濤や西麻布、世田谷区の深沢や瀬田といった高級住宅街は、いまも場所によっては最寄り駅まで距離がある。それでも人気が大きく落ちることはない。
「こうしたエリアは地名そのものがブランドなのです。住民はそのブランドに価値を感じて住んでいるため、駅からの距離は気にせず、人気には影響しません。その街に憧れる人が多く、需要が安定しているのです。身もフタもない言い方をすれば、そもそも富裕層は車移動が中心ですから」(首都圏の住宅事情に詳しいライターの金子則男氏=以下同)


















