立岩陽一郎
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立岩陽一郎

ジャーナリスト、1967年生まれ。91年、一橋大学卒業後、NHK入局。テヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て2016年12月に退職。現在は調査報道を専門とする認定NPO運営「INFACT」編集長。アメリカン大学(米ワシントンDC)フェロー。毎日放送「ちちんぷいぷい」レギュラー。

大学で相次ぐ差別発言「使えない教養より実学重視」の弊害

公開日: 更新日:

 当然、東大だけではない。一橋大でも、准教授が差別的な発言をしていることが指摘されている。英語の教員であるアメリカ人の准教授が、差別に反対する取り組みをしている在日コリアンの学生をツイートで繰り返し批判し、教室で、「コリアンはくそったれの集団だ」などと言い放っているという。大学が静観した状態なので、学生は大学のある国立市に対して人権救済の申し立てを行っている。これについて一橋大の教授のひとりは匿名を条件に次のように話した。

「使える英語を教えるということでアメリカ人を雇っているが、その人物の資質や教養を無視した採用がまかり通っている」

 一方で、哲学や英文学といった一般教養を教えていた優秀な若手教員が職場を追われているという。「使えない教養より実学重視」なのだという。しかし、アメリカの事例を詳しく見ると、先端技術の実用化を支えているのは実は一般教養だということがわかる。「ファジー・テッキー」(東洋館出版社)によると、シリコンバレーを牽引するスタンフォード大学では、文系学生を「ファジー」、理系学生を「テッキー」の愛称で呼び、その融合が実践されてきたという。この「文系」を一般教養と置き換えてもいい。そこで明らかになっているのは、先端技術とは、人間や社会、歴史、国際問題への洞察などを旨とする学問との融合があって初めて効果を発揮するということだ。つまり、一般教養の裏付けのない技術は成功しないという確信がある。そう考えた時、他者の排斥を是とする人物がつくり出すAIや、そうした人間が教える実用英語に意味がないことは明らかだ。

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