著者のコラム一覧
藤倉善郎ジャーナリスト

1974年、東京都生まれ。カルト問題を20年以上にわたり取材。2009年にニュースサイト「やや日刊カルト新聞」を創刊し、総裁就任。著書に「『カルト宗教』取材したらこうだった」など。「徹底検証 日本の右傾化」(塚田穂高編著)、「だから知ってほしい『宗教2世』問題」「陰謀論と排外主義~分断社会を読み解く7つの視点~」などの共著も多数などの共著も多数。

【日本人ファースト】排外主義で選挙を戦えてしまう空気

公開日: 更新日:

 そんな中で迎えたのが、10月の宮城県知事選。参政党は実質的な丸抱え候補として、自民党所属(当時)の和田政宗元参院議員を推薦し、6選を目指した村井嘉浩知事にぶつけた。

 この選挙も排外主義含みになった。村井はイスラム教徒を念頭に土葬墓地の開設を模索するも、市町村からの理解を得られず、選挙前に撤回した。撤回を決めたのだから、本来は選挙の争点にならない。しかし、ネット上で「村井知事は土葬墓地を作ろうとしている」かのようなデマが拡散。なし崩しで争点であるかのような空気が醸成され、和田陣営はこれに便乗。街頭演説などで「土葬反対」「移民反対」を訴え、現職へのネガキャンに利用した。

 仙台市内の演説で「出産費用の無償化」を口にした和田に向かって、支持者からこんな声が飛んだ。

「(無償化は)日本人限定ですよね?」

 和田は答えなかったが、いずれにせよ、支持者も外国人の存在が気に食わないようだ。

 村井が逃げ切ったものの、和田に約1.6万票差まで詰められる大接戦。票田の仙台市内5選挙区は全て和田が上回った。多選批判があったとはいえ、参院選に続いて「排外主義で選挙を戦える」という手応えを参政党に与えてしまったのではないだろうか。 (つづく)

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった