北方領土は“クリルの帝王”の企業城下町 「日常生活で困るのは…」島民が明かした意外な暮らし
国後島には温泉や豪華な保養施設、ホテルがある。ギドロストローイ社が手掛けているものだ。サハリン州政府はこのほど、ギドロストローイ・ツアー社を利用する旅客に対し、サハリン島からの航空運賃を半額にする特別施策を決定した。外国人もその対象だ。船員のウラジーミル(25)は「6月上旬には40人ほどの外国人が来島して、数人の日本人を見かけましたよ」と屈託ない。
北方領土の実態は、ギドロストローイ社の企業城下町。工場では総勢1000人が働き、その9割は中国、韓国、北朝鮮、旧ソ連圏の中央アジアからの出稼ぎ外国人だという。ロシア人従業員のアントーン(30)の月給は約18万円。北方領土の他企業よりも、はるかに恵まれている。妻(30)と長男(3)の3人家族。「光熱費と保育料にそれぞれ1万円かかるが、生活費には困っていません」と笑う。夫婦はモスクワ出身なのだが、都会生活に疲れ果ててしまったようだ。2年に1回、両親に会いに帰省しているという。
「この島の日常生活で困るのは、子ども用品の品不足です。店に発注しても、届くのは2週間後。貨物船でウラジオストクやサハリン本島から輸送されるのですが、霧で欠航はしょっちゅう。天候に左右されるんです」
プーチン政権主導で進められている日ロ経済協力プランは、エネルギーや先端技術開発など、カネのかかる事業ばかりが並ぶ。しかし、島民が現実に欲しているのは、身近な日用品なのだ。 (おわり)



















