日本のFA選手は建前ばかり なぜ「お金が一番」と言わない?
例えば11年にソフトバンクから巨人にFA移籍した杉内もそうだった。当初は「チームメートのために球団と闘う」と、FA移籍を盾にしながら査定システムの変更を迫っていたはずが、4年総額20億円で巨人に移籍。その際、フロント幹部の悪口をあげつらい、やむにやまれぬ事情があって移籍したという形をとった。
今オフも日本ハムからオリックスに移籍した小谷野は、「(森脇監督の言葉が)僕の心に響いた。あの人の下でプレーしたい」と言った。
そういう建前を言うのはなぜか。スポーツファンの松野弘氏(東京農大客員教授)はこう語る。
「例えば米国は経済的価値が重視されるお国柄ですが、日本は違う。今も精神的価値や社会的倫理性を重んじる国です。また、義理人情で動く民族でもある。でも、プロの評価はお金です。FA宣言したら、『高い給料をもらえるところに行きます』といえばいい。そちらの方がすっきりするのに、特にチームの主力はファンの反発を恐れてもっともらしい理由を述べる。日本のスポーツ界は、アマチュアリズムとプロの線引きがハッキリしていないともいえますね」