感覚だけを頼りに…タンデムで魅せる鹿沼由里恵の“神業”

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■「あうんの呼吸」で自転車操作

 タンデムは「パイロット」と呼ばれる前方選手がハンドルを操作。後方に座る「ストーカー」がその動きに合わせる。弱視の鹿沼さんは競技中、ストーカーとして田中選手の背中に前傾姿勢で密着。パイロットのわずかな動きを体で察知しながら時速60キロ以上にも及ぶ自転車を漕ぎ続ける。

「競技中の会話は前後に座る関係で全く聞こえません。レース中に話すことはないので、感覚だけが頼りです。左右の動きやペダルの踏み込み、バランス、コーナーの入り方などはお互いの阿吽の呼吸で行います。幸運なことに、田中さんは上半身や自転車を左右に振ってスピードを出すタイプの選手ではなく、プロ競輪選手独特のクセもある。競輪は常に左回りなので、彼女は左への傾きが強く、右への傾きは制限がかかる。そういうクセを感じられるので、目が見えなくても私は合わせやすい。クセがあることで私としてはむしろ助かっているわけです」

 「自転車」にもこだわりがある。

 カーボン製のフレームは重量およそ4キロ弱。一般的な自転車のフレーム部(重さ10キロ前後)よりかなり軽い特注品だ。パーツを含めた1台の価格は約150万円。小型乗用車1台分に匹敵する値段である。

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