感覚だけを頼りに…タンデムで魅せる鹿沼由里恵の“神業”

公開日: 更新日:

■「あうんの呼吸」で自転車操作

 タンデムは「パイロット」と呼ばれる前方選手がハンドルを操作。後方に座る「ストーカー」がその動きに合わせる。弱視の鹿沼さんは競技中、ストーカーとして田中選手の背中に前傾姿勢で密着。パイロットのわずかな動きを体で察知しながら時速60キロ以上にも及ぶ自転車を漕ぎ続ける。

「競技中の会話は前後に座る関係で全く聞こえません。レース中に話すことはないので、感覚だけが頼りです。左右の動きやペダルの踏み込み、バランス、コーナーの入り方などはお互いの阿吽の呼吸で行います。幸運なことに、田中さんは上半身や自転車を左右に振ってスピードを出すタイプの選手ではなく、プロ競輪選手独特のクセもある。競輪は常に左回りなので、彼女は左への傾きが強く、右への傾きは制限がかかる。そういうクセを感じられるので、目が見えなくても私は合わせやすい。クセがあることで私としてはむしろ助かっているわけです」

 「自転車」にもこだわりがある。

 カーボン製のフレームは重量およそ4キロ弱。一般的な自転車のフレーム部(重さ10キロ前後)よりかなり軽い特注品だ。パーツを含めた1台の価格は約150万円。小型乗用車1台分に匹敵する値段である。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  3. 3

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  4. 4

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  5. 5

    (5)「名古屋-品川」開通は2040年代半ば…「大阪延伸」は今世紀絶望

  1. 6

    「好感度ギャップ」がアダとなった永野芽郁、国分太一、チョコプラ松尾…“いい人”ほど何かを起こした時は激しく燃え上がる

  2. 7

    衆院定数削減の効果はせいぜい50億円…「そんなことより」自民党の内部留保210億円の衝撃!

  3. 8

    『サン!シャイン』終了は佐々木恭子アナにも責任が…フジ騒動で株を上げた大ベテランが“不評”のワケ

  4. 9

    ウエルシアとツルハが経営統合…親会社イオンの狙いは“グローバルドラッグチェーン”の実現か?

  5. 10

    今井達也の希望をクリアするメジャー5球団の名前は…大谷ドジャースは真っ先に“対象外"