逃げ場なき“剣闘” 車いすフェンシング加納慎太郎の挑戦

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 そんな加納さんを変えたのが13年9月。東京五輪パラリンピックの正式決定だった。

 知人から「お前も出場できるかも」と冗談交じりに言われたことを機に、障がい者競技を調べ始めた。目にとまったのが「車いすフェンシング」。見たことも聞いたこともなかったが、小学5年から剣道をしていたため、「これなら剣道の経験を生かせるかもしれない」。

 しかし、実際にやってみると“現実”を思い知らされた。

 車いすフェンシングは、固定された車いすに座ったまま、目前にいる相手と剣を突き合う。逃げ場がない、いわば「殴り合い」の喧嘩のようなものだ。剣道とは勝手が違い、思うように実力が発揮できない。

 難題はまだあった。競技人口が極端に少ないため、練習相手もコーチもいない。国内では技術向上に必要なノウハウを学ぶことができなかったのだ。

■試合用のピストは全国でも計5台

「剣さばきはフェンシングのコーチに指導してもらえても、車いすに乗っての体の使い方や剣さばきは普通のフェンシングとは違う。その経験者がほぼ皆無なので、当初は海外のビデオを見ながら見よう見まねの日々でした。車いすを固定するピストもいまだ東京に2台しかなく、全国でも計5台ほど。環境はまだ十分に整備されていません」

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