阪神残留ならとっくに引退 広島・新井の数奇な野球人生

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「女神」がぞっこんだ。

 新井貴浩(40)は生まれも育ちも広島で、1998年ドラフト6位で駒大から広島入り。3年目にレギュラーに定着すると、金本が阪神に移籍した2003年は4番も打った。

 07年オフには金本を追うように阪神へ。だが、新天地でもぺナントを手にすることができず、14年オフには屈辱的な契約条件に我慢できず、ファンの罵声を覚悟して古巣に戻った。幸運の女神が降りてきたのはそこからだ。

 ある広島OBが言う。

「広島時代の9年間は一度もAクラスがなかった。阪神へのFA移籍は優勝できるチームということも理由だった。その夢がかなわず、14年オフには1億円以上の大減俸と翌年の代打要員を告げられた。あのまま阪神にいれば、若手に出番を奪われ間違いなくユニホームを脱いでいる。松田オーナーの許しもあって古巣に戻ると、メジャーから黒田も復帰して、2年目の昨季は巨人を前に25年ぶりに優勝だろ。しかも、MVPも獲得し、2000安打まで達成した。そして今季は、かつて夢を追った甲子園で37年ぶりの連覇だからな。『こんな野球人生は想像もできなかった』としみじみと語っていたそうだが、それはそうだろう」

 今の新井は「自分の成績より、熱い声援を送ってくれるファンのためにプレーしている」と言う。

「それが嘘に聞こえないのが新井という男。だから野球の女神がバックアップしてくれたんだよ」と、前出OBは言った。

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